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キャピングカーの楽器や機材は「必要最小限のパック」

――GAKUさんのキャンピングカーには、ラッピングや名前も入っていて目立ちますね。

GAKU 目立つので悪いことはできないですし、変なところにも停められない。清く、正しく、移動しています(笑)。

――キャピングカーの中に、楽器や音響機材がすべて入っているのですか。

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GAKU 長い間、同じことを続けているので、機材がブラッシュアップされて、これだけあれば大丈夫みたいな必要最小限のパックが完成しています。

 今年8月のツアーでは、移動中に街に立ち寄って演奏する「寄り道ライブ」というのも開催して。寄り道ライブでは、ライブハウスだけでなく、小さなカフェや学校も会場になるので、機材がないところもあるんです。だから自分で使い慣れたものを持っていった方が安心できるし、あちこちで借りるストレスもないので。

ツアー中はキャンピングカーで全国を駆け巡る(写真=GAKU-MCさん提供)

 ラップのライブは、バンドがいて、DJがいて、流れる音楽に言葉を乗せていくのが、いわゆる普通のスタイルだ。だが、GAKUは、アコースティックギター1本でラップを魅せる。まるでフォークシンガーのようだが、奏でる音楽は、まぎれもなくラップだ。

ギター1本で自分の生き様を見せていく

――アコースティックギター1本でラップをやろうと思ったのは、なぜですか。

GAKU 以前は、バンドがいないとライブやりません、みたいな感じだったんです。でも、キャンピングカーで全国を回った時、ひとりでも音楽はやれるし、それで世間を魅了している人がいるんだから、自分もやれないわけがないと思いました。それに、ギター1本でもこんな感じでラップができるんだ、っていうのを見せたかったのもあります。

ラッパーのGAKU-MCさん ©細田忠/文藝春秋

――ギター1本でラップをするおもしろさは、どういうところにあるんですか。

GAKU DJがいて、作られた音楽の上に歌を重ねていくのは楽しいですし、バンドがいると音圧があるから、本当はラクなんです。

 でも、アコギ1本でやるライブは、会場のみんなに自分の体温が伝わって、熱量がありながらも暖かい雰囲気になるんですよ。ファンのみんなは僕が36歳でギターを始めたことを知っているので、多少ヘタでも「がんばれー」みたいな感じで、優しい目で見てくれていますし、少しずつ上達する姿を見せることも僕の仕事かなって思っています。格好良くいうと、ギター1本で自分の生き様を見せていく感じですかね。