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「離檀料700万円払え」「墓じまいさせない」住職による高額要求多発…心穏やかな死を望む高齢者の終活に異変

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その上で「離檀料」に関しては、「宗門公式としての離檀料に関する取り決めはない」「檀信徒から、離檀料を頂くようになどという指導も行っていない」と関与を否定。その上で、「離檀に当たり、これまで先祖代々がお世話になった感謝の気持ちとして、布施を納めてくださる場合があるが、地域の風習や慣行、寺院と檀信徒との関係性において、当事者間の話し合いにより決まるものと考えている」と述べている。

続いて「墓じまい」についても、「宗門公式として墓じまいという用語は用いていない」との立場を明確にしている。

離檀料に関しては曹洞宗だけではなく、他の仏教宗派も同様の考えである。宗門から末寺に対し、離檀料を設定して、徴収するように指導するようなことはありえない。しかし、一部の寺院が「暴走」し、多額の離檀料を徴収するケースがみられる。そのため、宗務庁が釘を刺した形だ。だからといって、宗門がそうしたあこぎな住職に対し、よほどのケースがなければ懲戒できないのが現実だ。

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「過去帳に8人の名前が載っているので、離檀料は700万円」

墓じまいについて「公式にその用語を使っていない」との表明に関しては、さほどの意味があるものとは思えない。宗門がどう考えようとも、すでに社会一般に「墓じまい」の用語は浸透してしまっている。用語の流布を拒絶したからといって、どうなるものでもないだろう。

例えば朝日新聞で「墓じまい」が初めて登場するのが、2010年8月8日付の記事でのこと。「墓じまい、私の務め」と題し、報じている。「墓じまい」は2014年以降、急激にメディアで登場していく。

「離檀料」の初出は2013年3月15日付「声」欄である。石川県の読者が「離檀しようとして、高額な離檀料を請求されたトラブルも聞きます」などと投書をしていた。

最近でいえば、同紙2023年4月27日付くらし面。ある人が岩手県内の寺院を離檀しようとしたところ、「離檀料は30万円といわれ、高いと感じたが支払った。閉眼供養(魂抜き)などを合わせて全部で100万円ほどかかった」などと、離檀料トラブルを報じている。

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