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立ち食いそばの値段上昇、「500円の壁」は死守できるか…2024年の「立ち食い・大衆そば業界」を予想する

立ち食いそばの値段上昇、「500円の壁」は死守できるか…2024年の「立ち食い・大衆そば業界」を予想する

2024/01/02

genre : ライフ, グルメ,

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 謹賀新年。大衆そば・立ち食いそばの拙い記事ですが今年もよろしくお付き合いください。さて大衆そば・立ち食いそば業界の2024年はどんな年になるだろうか予想してみた。

予想1:続く値段上昇「立ち食いそば」500円の壁

 2024年も価格上昇が続くと予想する。そば粉・小麦粉・油などの食材、電気・ガス代などの値段が上がり続けている。一方、輸入そば粉はピークアウトしているようだ。日本経済新聞の11月24日の記事によると、そば粉の原料となる玄ソバ(殻付きの実)の流通価格が下落したという。中国産の新物(2023年産)の東京地区での流通価格は、22年産より1割安い。

 最大産地のロシア産の輸入が増えたことが影響した。玄ソバの値下がりで、製粉会社の調達コストは下がりそうだ。ロシア産は決済不能で入荷していないと聞いていたのだがこっそり入っているとは驚いた。しかし、全体でみれば価格が下がるということはあり得ないだろう。

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 現在、立ち食いそば屋の「かき揚げそば」は500円前後で推移している。ラーメンには1000円の壁があると東京新聞2023年11月19日の記事が伝えていた。立ち食いそば屋なら500円が当面の壁かもしれない。今でも「かき揚げそば」を300円台で提供する東京の個人店(浅草橋「ひさご」、矢口渡「まる美」など)、大阪の個人店が何軒もある。しかし、大手チェーン店はやはり500円を意識した設定になっているし、こうした個人店もここ数年でじわじわ上がっていくと考えられる。

「かき揚げそば」350円でがんばっている矢口渡の「まる美」

予想2:2023年同様、閉店が続く

 立ち食いそば屋の古参店の閉店が2020年から一気に増え、2022年に幾分か閉店数は少なくなっていたのだが、2023年は急増した。

 虎ノ門「峠そば」は再開発による立ち退きだった。シャキッとしたそばが絶品だった。市ヶ谷「瓢箪」は最もお世話になった店である。あのミニ牛丼が懐かしい。鶴見駅前の「ういーん」は鶴見の薄色つゆの名店。池袋「君塚」までも閉店するとは思わなかった。「麻婆そば」が懐かしい。JR高崎駅「駅そば第5売店」は昭和初期「たかべん」の時代からそば売りを開始していた歴史ある店だった。