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「14歳でデビューしてから、覚えていないことも多くて…」前田敦子(32)が語る、“この仕事は向いてないんじゃないか”と悩んだコンプレックス

『一月の声に歓びを刻め』三島有紀子×前田敦子対談

2023/12/30
note

三島 向いていますよ。過去に遡るより、想像できること、想像して感じることのほうが役者さんに必要な要素かなと。

前田 そうなんですか、よかった。

『エイリアン』主人公シガニー・ウィーバーの驚きの演技術

三島 『エイリアン』で知られるシガニー・ウィーバーは、自分の感情を細かくストックしていて、身体のどこを触るとその感情を引き出せる、というように訓練しているらしいです。ボタンを決めていて、眉毛を触るとこの感情になる、手の甲を押すとあの感情になる。相手役の人とお芝居をセッションする前の準備として、その感情になってならしておくのだそうです。

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前田 すごいですね。でも、ボタンを間違えたら大変ですよね(笑)。そのつもりじゃないのに違う感情が出てきちゃったとか。

三島 笑っちゃいけないところで爆笑したりすることになる(笑)。

©Asami Enomoto

前田 監督は、反応するということを大事にされていますね。

三島 はい。芝居は1人で作るわけではないですし、人はいつも何かの作用を受けて感情が生まれるわけですから、相手役の感情にどう反応していくのかということが大事で、結局、大事なのはセリフではないんですよね……って、こんなこと言ったら脚本家の先生に怒られるかもしれない(笑)。ごめんなさい! セリフも大事です。

前田 (爆笑)。

三島 結局、芝居というのは言葉も大事ですが、どういう感情を受け取って、どうリアクションするかということの繰り返しなのではないかと思っています。前田さんはそれがベースとしてずっとできているんですよ。

前田 では、役者を続けてもいいでしょうか。

三島 続けてくださらないと、映画界が困りますね。

※三島有紀子さんが長年苦しんだ「罪の意識」や、前田敦子さんが主演のオファーを受けることを決意するまでの葛藤、前田さんが「大きな体温を感じる」と表現する子どもの存在などについて語られた全文は、『週刊文春WOMAN 創刊5周年記念号』でお読みいただけます。

Yukiko Mishima

みしまゆきこ/映画監督。大阪府生まれ。18歳からインディーズ映画を撮り始め、大学卒業後NHKに入局、2003年に独立。12年、オリジナル脚本で『しあわせのパン』を発表。『幼な子われらに生まれ』(17年)では第41回モントリオール世界映画祭で審査員特別大賞、第41回山路ふみ子映画賞、第42回報知映画賞では監督賞を受賞。その後『Red』を発表した。

Atsuko Maeda

まえだあつこ/女優。1991年千葉県生まれ。アイドルグループ「AKB48」の第1期生として2012年まで活動。卒業以降は、テレビドラマや映画、舞台に多数出演、女優として活動している。19年に映画『旅のおわり世界のはじまり』と『町田くんの世界』で第33回山路ふみ子女優賞を受賞。

photographs: Asami Enomoto
styling: Yusuke Arimoto(7kainoura/Maeda)
hair & make-up: Yurika Ichihashi(Mishima),  
Riho Takahashi(HappyStar/Maeda)

「14歳でデビューしてから、覚えていないことも多くて…」前田敦子(32)が語る、“この仕事は向いてないんじゃないか”と悩んだコンプレックス

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