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フルヌードと大胆なセックスシーンにも…「説得は不要だった」俳優エマ・ストーンが迷わなかったワケ

エマ・ストーン(俳優)――クローズアップ

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 エマ・ストーンが、またもやすごい。オスカーに3度候補入りし、『ラ・ラ・ランド』で受賞を果たした彼女は、最新作『哀れなるものたち』で、とんでもなく大胆なことをやってみせたのだ。

 彼女が演じるベラは、天才外科医バクスター(ウィレム・デフォー)が、自殺を試みた妊婦の体に胎児の脳を移植することで生まれた“創造物”。常識やマナーを何も知らないため、性に目覚めると、人目もはばからず快楽に浸る。フルヌードと大胆なセックスシーンが要求される役だが、躊躇はなかったという。

エマ・ストーン

「迷いなんて、一瞬たりとも持たなかったわね。これは私がめぐりあった最高のキャラクター。しかもヨルゴスが監督するというんだもの。決心はすぐだった」

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『女王陛下のお気に入り』で初めてストーンと組み、意気投合したヨルゴス・ランティモス監督は、映画の撮影が終わるのを待たずに、『哀れなるものたち』の話を持ちかけた。「セックスシーンはベラのジャーニーでとても重要だと、エマは最初から理解していた。だから説得は不要だったよ。それどころか、それらのシーンにユーモアが出るよう、違った体位を考える上でアイデアも出してくれたんだ」と、ランティモス監督は、プロデューサーも兼任するストーンに感謝を示す。

「ベラを演じる上では、羞恥心や常識をできるだけ排除するようにしたわ。彼女は純粋な喜びと好奇心に満ちている。トラウマもない。そういう大人は、普通いない。みんな何らかの辛い経験をしてくるものだから。でも、彼女は発見する過程にいるの」

 父親的存在であるバクスター博士のもとを離れ、初の肉体関係の相手であるダンカン(マーク・ラファロ)と旅に出たベラは、外の世界を知っていく。彼女の成長ぶりは、話し方、振る舞い、服装にも明白だ。

『哀れなるものたち』配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン ©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

「世話をしてもらっている最初の頃はお嬢さんらしい格好だけれど、外に出ると自分で服を選ぶようになり、やがて周りに馴染むようなコーディネートをするようになる。彼女は服を通じても成長を表現するの。言葉、体の動きの変化は、事前にヨルゴスと話し合い、(撮影は順番通りではないため)新たなシーンを撮影するたびに、彼女がどの段階にあるのか確認したわ」

 相当チャレンジの大きい仕事だったはずだが、ストーンはそう認めることを拒む。

「役者が『この仕事は大変』というなんて、恥ずかしいこと。もちろん一生懸命やるし、プレッシャーもある。きつい日もある。でも、本当の意味できつくはない。楽しさのほうが大きい。この仕事をさせてもらえるのはありがたいことよ」

Emma Stone/1988年、米国アリゾナ州生まれ。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』『女王陛下のお気に入り』でオスカー助演部門に候補入り、『ラ・ラ・ランド』で主演女優賞受賞。2020年に結婚、翌年長女を出産。

INFORMATION

映画『哀れなるものたち』(全国公開中)
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
https://www.searchlightpictures.jp/movies/poorthings

フルヌードと大胆なセックスシーンにも…「説得は不要だった」俳優エマ・ストーンが迷わなかったワケ

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