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好待遇でも相談なく消えていく…異例の出世をした若手社員が「退職代行サービス」で次々と辞めたワケ

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 働き方

note

①面倒で煩雑(はんざつ)な退職手続きを代わりに処理してもらうこと
②スムーズかつ円満に退職すること

①については、あらゆる「代行サービス」に共通した目的であり、イメージもしやすい。忙しいあなたに代わって作業してもらうもので、家事代行サービスやベビーシッターなどが典型例だ。経営学の視座からすれば、そもそもこうしたアウトソーシングは、経済成長の源の1つだ。

「本来、自分がやるべきことを誰かにやってもらう行為」は、いわば仕事(特にサービス業)の定義みたいなものだ。外食産業(料理)、交通機関(移動)、保健医療(治療や介護)など、例をあげれば枚挙に暇がない。イノベーション論の研究者から言わせれば、次に何のアウトソーシングがはやるかを予測することが、すなわち次のイノベーションを予測することにもつながる。

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代行業者が行っている「3つのサービス」

例えば、生成AIは人のどんな活動を代行することになるのだろうか……。話が脱線してしまった(研究者の悪いクセです)。元へ戻そう。

先に退職代行サービスの目的として、①と②の2つに整理したが、実際のところは②の「スムーズかつ円満に退職すること」が、若者ニーズのほぼすべてといっても過言ではない。昨今の退職代行サービスは、実際にどんなことを代行してくれるのか。代行業者によって細かなサービスの違いはあるようだが、主に次のように整理できる。

①退職に伴う必要書類の準備・作成

退職届や関連する書類の準備・作成をしてくれる。この作業そのものはたいした負担ではないだろう。

②勤務先や雇用主への連絡・取次

文字通り、あなたの退職の意志を勤め先の人事部等に通知してくれる。その後、どうしても複数回にわたるやり取りが必要になるが、それをストレスに感じる若手が多い印象だ。

③法的な手続きの支援

これも結構ありがたいと思う人が多そうだ。労働法や関連する法律に従った手続きをチェック、支援をしてくれる。例えば、適切な退職日の調整や、給与や残業代の精算、社会保険や年金の引継ぎなどが該当する。退職に伴う秘密保持契約の確認なども含まれる。