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現地取材で「近くに砲弾が落ちないことを祈りながらタイヤ交換」…“ロシアのウクライナ侵攻”から2年の今

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2024/02/24

genre : ニュース, 国際

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 ウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州を合わせた地域はドンバスと呼ばれる。この地域は2014年から親ロシア派勢力と介入していたロシアとの紛争が続いていた地域だ。私は前回もこの地域を取材していたので今回もこのウクライナ東部、ドンバスを取材することにした。

遠くでドーン、ドーンと聞こえてきたと思ったら…

 前回の取材は2022年5月、ロシアのプーチン大統領は5月9日の戦勝記念日のパレードで発表するウクライナ侵攻への成果を上げるべくウクライナへ猛攻を仕掛けていた。私はスペイン人記者のホアキムとウクライナ人の運転手のミコラの3人で取材を一緒にすることになった。向かったのはもちろん当時の激戦地セベロドネツクだ。

砲撃で白煙が舞い上がる中、猛スピードで突っ切っていく(2022年5月撮影)

 セベロドネツクへ向かう道中、車でしばらく郊外を走っていると近くで白い煙が上がっているのが見えた。私が「砲撃されてる地域じゃないか?」と聞くとホアキムは「農家が畑を燃やしてるんじゃないか?」と答えた、その時、遠くの方でポポポポッと聞こえた瞬間、私とホアキムは目を見開いて、まずい、とお互いの顔を見合わせた。その後すぐドーン、ドーンと遠くで聞こえてきた。やっぱり砲撃されていたのだ。聞こえてきたのはロシア軍の砲撃音だ。気がつくと平原にいくつか砲弾が着弾した白い煙が上がっている。

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 ミコラは「私達は危険地帯に入ってしまった」と片言の英語でつぶやくと、アクセルをベタ踏みにした。車は猛スピードで家屋が燃えている集落に入り込む。集落は砲弾の煙で白いモヤに包まれており、道には砲弾の破片や、吹き飛ばされた土が散乱している。途中で乗り捨てられたハッチの開いたバンを見かけた。バンの荷台には弾薬の箱が積み重ねられていた。ウクライナ軍が運ぶ途中で攻撃に遭い、どこかに避難した後のようだった。