日本はスパイ天国だった⁉ 人気テレビドラマ『VIVANT』の公安監修者・元公安警察官の勝丸円覚の新著『諜・無法地帯 暗躍するスパイたち』より一部抜粋。ロシア人美女スパイ、アンナ・チャップマンが実際に行なった手口をご紹介する(全2回の後編/前編を読む)

「美しすぎるスパイ」アンナ・チャップマンの素顔

 ロシアスパイは、実は訓練を受けた外交官の身分を持っているような人たちばかりではない。一般人の身分で、外交官の肩書を持たずに活動しているスパイも少なくない。永住者や長期滞在者がスパイであるケースだ。日本の警察も、そうしたスパイを追いきることは至難の業だ。外事警察は長年の経験と情報で、外交官の肩書で日本にいるロシアスパイが出没するパターンや接触の仕方をプロファイルできているが、社会に浸透している民間スパイをあぶり出すことは簡単ではない。

公式インスタグラムより引用

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 日本では、ロシアの航空会社アエロフロートや、通信社であるタス通信(ロシアの国営通信社)にスパイが紛れ込んでいたのは外事警察もわかっている。それに加えて、アメリカで2010年6月にロシアスパイとして逮捕され、「美しすぎるスパイ」として大きく報じられたアンナ・チャップマンのケースのように、民間のビジネスパーソンに扮しているスパイもいる。