男性であれば、日本で俳優をしているスパイがいた。以前、日本のテレビで再現ドラマによく出ていたロシア人の俳優だ。この俳優は、SVRのスパイとも頻繁に会っていたのを確認していた。2014年にロシアがクリミアに侵攻した際も、ウクライナ大使館前での抗議デモに参加したり、日本に暮らす親ロシアのウクライナ人とも連絡を取り合っていた。ロシアに友好的なウクライナ人と連絡をする役割もあったのかもしれない。ここ最近では再現ドラマでも見なくなってしまった。
ロシアスパイと中国スパイの違い
ロシアスパイは、中国スパイとはやり方が根本的に違う。同胞に力技で協力させるようなことはあまりしない。もちろん、在日で反ロシアや反プーチン発言をしている人たちのことはきっちりとチェックしているが、在日ロシア人を飴と鞭で協力者にしていくということはほとんどない。
ロシア大使館は、外国人の職員も置かない。大使館ではよくある公用車のドライバーに現地人を雇うようなこともせず、すべて自国民で固めている。日本での業務も日本人にはさせず、日本語ができるロシア人が担当するのである。この点だけは、中国と同じだ。
メディアでロシアについて専門家がコメントすると、それが日本語の有料記事であっても、大使館はチェックしている。一度、ある大学の国際政治学者がロシアのスパイ活動について、全国紙にコメントを寄せたことがあった。その全国紙の有料デジタル版にコメントは掲載されたのだが、その日のうちにロシア大使館から大学に「ぜひお会いしたい」とアポイントを取る連絡が来たという。それくらい、ロシア大使館は日本メディアでの扱われ方を注視しているのである。
さらにロシアは、領事もスパイ活動をすることがある。領事なら、パスポート情報から個人情報も知ることができる。そこから接触をしたり、名刺交換をして、人脈を作っていくこともある。そういう理由から、どこの情報機関でも、領事は大切に扱い、重要な情報源にしている。領事は敵に回すな、というのは情報機関の常識なのである。
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