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「柳葉(敏郎)を殴るってどういうことだ」チョロ役でブレイクするも、大ケンカ…中野英雄(59)が語る、『愛という名のもとに』がもたらした光と闇

中野英雄インタビュー #3

2024/03/09
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カメラが止まった後に襲われたものすごい脱力感

――あのシーンを撮った直後、たけしさんになにか言われましたか。

中野 「オッケー、カット」と言ったら、たけしさんはいなくなっちゃうんです。だから、みんな「よかったの? 悪かったの?」みたいなね。実際、ラッシュを見ると、撮ったシーンがバッサリ切られてることがありましたし。

 最初にあのシーンだったもんだから、テンションを繋いでいくのが大変でした。まぁ、あそこと刑務所でたけしさんを刺すラスト以外は顔が包帯だらけなんだけど。あのラストが、僕の撮影の最後でもあったんですけど、やっぱりイッちゃってたんで、カメラが止まった後にものすごい脱力感に襲われましたね。

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 あれ、神戸の小学校を刑務所に見立てて撮ってたんですよ。「カット」ってなって、スタッフの方が「送りますよ」って言ってくださったんだけど「いや、ほっといてください。ひとりになりたいんです」と答えて、僕だけ小学校に残ってボーッとしてました。で、なぜか「ロールケーキ食おう」と思って、近所のお店に買いに行って、そのまま1本ガブガブって。

役作りでトータル30キロ落とした

――続編『アウトレイジ ビヨンド』(2012年)にも出演しましたが、1本目の撮影中に話は聞かされていましたか。

中野 『アウトレイジ』のジャパンプレミアで聞かされました。たけしさんが近づいてきて、耳元で「次やるからよ。今度は俺とお前が組むんだよ。だから、頼むぞ」って囁いて。もう、興奮して頭から火が出ましたね。

――1本目も2本目も身体を絞りまくっていますが、役作りですか。

中野 1と2で、トータル30キロ落としてます。『アウトレイジ』のときは、10キロ落としてから行ったんですよ。撮影の最中にも「絞れ」って言われて、さらに落として。だから、最初に出てきて指詰める僕と、最後に刑務所でたけしさんを刺す僕の顔は違います。最後のほうが絞れてます。刑務所にいるので、たしかに絞れてるほうがいいんですよね。

 

 で、2本目の『ビヨンド』では「もっと絞れ」と言われて。映画を見ると、僕は刑務所から出てきていますけど、当初は刑務所の中から話が始まる予定だったんですよ。だから、やっぱり細くないとダメだろってことで20キロほど落として。でも、急に変わって僕は出所済みの設定になったんです。

 たけしさんもダイエットするからと聞いていたので頑張って。そうしたら、たけしさんはダイエットの途中で「俺はもうダメだ。できない」と言ってたそうで、「俺、ここまでやっちゃったよ」みたいな。

――どうやって落としました?

中野 基本的に食べない。キャベツばっかり食って、ひたすらウォーキングしました。

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