『日本統一』シリーズや『アウトレイジ』シリーズなどで知られる俳優・中野英雄（59）。
「最近は（仲野）太賀のお父さんというキャラになってるみたいですね」と語る彼に、『愛という名のもとに』でのブレイクがもたらした光と闇、『アウトレイジ』シリーズ出演の経緯、同じ俳優として活躍する息子・太賀への思いなどについて、話を聞いた。（全3回の3回目／最初から読む）
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僕と勝俣の運命の別れ道になったあの日
――CHA-CHAのオーディションで萩本欽一さんが望んでいたものは？
中野英雄（以下、中野） センスだと思います。アドリブにおけるセンス。
オーディションではいろんなことやらされるんですけど、いきなり「好きなマントヒヒ、どんなマントヒヒ？」って聞かれるんですよ。大将（萩本欽一）はロダンの『考える人』みたいな体勢で「ん～、ん～」としか言わないし、こっちのほうを見てくれないんですよ。なんだか、その質問と状況はすごく印象に残ってますね。ほんと、マントヒヒのことを聞かれたときは、腹抱えて笑いそうになりましたけど（笑）。
まぁ、臨機応変に滑稽かつオールマイティに喋れるセンスは僕にはないなとわかりましたね。だったら、コツコツやっていったほうが性に合ってるのかなって。
でも、そのオーディションに落ちたことで道が拓けるんですよ。オーディションは日テレでやったんですけど、終わった後に廊下で水田伸生さんとバッタリ会うんですよ。
――水田さんは、ドラマ『Mother』（2010年）や映画『なくもんか』（2009）などを手掛けた日本テレビのディレクターですよね。
中野 そうです。『ゆとりですがなにか』（2016年）で、太賀とも一緒にやってます。
水田さんに「おお、英雄。今日、ギバちゃんと一緒か？」と聞かれて。「違います。自分、欽ちゃんのオーディションにでたんですけど、落ちちゃいました」「は？ もったいねえな」と言われて。その縁で、後藤久美子ちゃん主演の『風少女』（1988年）ってドラマに出してもらえるんです。
だから、あの日が僕と勝俣（州和）の運命の別れ道ですよ。勝俣はお笑いのほうへ、僕は役者の方へ。おかげで、劇男一世風靡が解散しても、そのまま役者として進めましたから。ただ、自分としてはお笑いやバラエティに行きたかったですよね。
