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「下品すぎて子どもには見せたくないと思いきや…」再生数1億超え“水曜日のバラエティ”がお笑いファン以外にも刺さるワケ〈元テレビマンが解説〉

『ありえない仕事術 正しい“正義”の使い方』より #1

2024/03/20
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 伝説的なドキュメンタリー番組『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(テレビ東京)の仕掛け人として知られる、映像ディレクターの上出遼平氏。そんな上出氏が、初のビジネス書『ありえない仕事術 正しい“正義”の使い方』(徳間書店)を上梓した。本書は2部構成で、第2部ではアッと驚く展開が待っているが、ここでは第1部より一部抜粋の形で紹介する。

 ギャラクシー賞を二度も受賞するほどの名作を生み出した気鋭のテレビマンは、どのように仕事と向き合い、テレビ業界を生き抜いてきたのだろうか?(全2回の1回目/2回目に続く)

上出遼平氏(写真=徳間書店提供)

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伝家の宝刀「Q&A」

 ここまで、自分たちに全く興味を持っていない人にどうすれば振り向いてもらえるか、ということについて考えてきました。しかし、振り向いてもらっても、くるりとどこかへ歩き去ってもらっては困ります。もう5秒、30秒、1分、5分と足を止めてもらわないとならない。

 ここで1つ、極めて具体的な映像制作の手法をお教えします。私がテレビ局に勤めてまず叩き込まれた原理原則、テレビ的文法の初歩であり、なおかつ唯一にして最重要の作法とも言えるもので、これを身につけられたことこそ、その会社で得られた最大の収穫に違いないとさえ思っていることです。言わずもがな、これはテレビ番組に限らず、企画書であろうと街場の語りであろうと恐るべき効果を発揮します。

 それがマス・コミュニケーションの世界に代々伝わる虎の巻、Q&Aです。

大人気バラエティ番組のカラクリ

 何もクイズ番組のことを言っているわけではありません。もちろん、クイズ番組にも微に入り細に入りQ&Aが浸透していますが、それだけに限らない。旅番組だろうがお笑い番組だろうが、ほとんどすべてのバラエティ番組がこの構造で作られています。実のところ、ドキュメンタリー番組も報道番組も情報番組も、この手法を使っています。視聴者は知らず知らずのうちに問い(Q)を投げかけられ、答え(A)を求められているのです。だから最後まで見ざるを得なくなる。どういうことか。

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