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大阪で出会った“いかにも昭和”な中華料理屋 「40年以上前から同じ」ラーメン550円は正統派の味だった!

大阪で出会った“いかにも昭和”な中華料理屋 「40年以上前から同じ」ラーメン550円は正統派の味だった!

B中華を探す旅――大阪「香港」

2024/03/27

genre : ライフ, グルメ

note

トリ天はモモ肉ではなく…

 明らかに手がかかっているのに、なかなかたいしたもの。それは他の料理にもいえることで、特筆すべきはトリ天だ。モモ肉ではなく、手羽先なのである。

「『普通のモモないの?』っていわれることもあるんやけど、唐揚げは昔から、基本的にはずっと手羽先を使ってます。子どもでも、こっちのほうがおいしいっていうんですよ、やっぱり」

 

 そして、人気の理由がはっきりわかるのがやきめし。基本に忠実な味もさることながら、量がすごいのだ。なにしろ「小」でも大盛りくらいある。

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「普通で1合半ぐらいですから、大だと2合半ぐらい。この辺、もともと労働者の人が多かったらしくて。前の親方が、お腹いっぱいにさすつもりでつくっとったらしいです。2個も3個も頼まんでいいように、1個食べてお腹一杯になるぐらいつくろうというて」

 

 なるほど、あくまでお客さん思いなのだな。当然ながらビールも、大阪の定番というべき大瓶(ダイビン)である。

「いま中瓶も多いですけど、大瓶も中瓶も、仕入れの値段はそんなに変わらないんですよ。だから、そやったらもったいないやんと思って。大瓶でいいよって」

 

変化していく街

 昼休みもとらず、ずっと通しで営業している。

「いや、閉めとってもね、別になにするわけでもないし。仕込みも、(営業を)やりながらできるし。閉める必要はねえよと。3時から来る人もいてるし、ほなもう普通に開けとこうって」

 しかも、さらには出前もあるのだ。

「辺鄙やねんけど、でもけっこう住んでる人は多いんですよ。住宅地ですね、もうほんとに。もともとは工場がいっぱいあったんです。だからお昼なんかは、そういう工場の出前とか聞いとって」

 

 だが工場もいまは減り、代わりに建売住宅が増えていった。だから、今度は新たな住人から出前の注文が来るようになった……とはいかなかったようで。

「若い子は建売を買うと、毎日がしんどいじゃないですか、月々のあれが。やっぱり出前は取らないんですよ。あっちに新住宅とかもあるんですけど、もう年寄りばっかりなんです。やっぱりそんなに食べられないじゃないですか。(だから)基本的にはだいぶ減ってます。1割ぐらいになってるんちゃいますか」