昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

大阪城北詰で40年続く“看板のない中華料理屋” 思いの詰まった「450円のラーメン」が味わい深かった!

B中華を探す旅――大阪城北詰「桃園」

2021/01/22

 前回に続き、昨年10月下旬に取材を敢行した「B中華を探す旅・大阪編」の第2弾をお送りしたい。新型コロナ第3波到来直前、2泊3日で3軒を訪ねるという、無理ありすぎな企画である。

 今回目指したのは、大阪市都島区片町。最寄りの駅はJR東西線の「大阪城北詰」で、その名のとおり大阪城のすぐ近くだ。などと知ったようなことを書いているが、そもそも大阪の地理には詳しくない。しかもこの日は大阪の友人が車を出してくれたので、自分がどこにいるのかさえわからない。

 大阪の友人もこのあたりには詳しくないようなので少し迷ったが、やがて小綺麗なビルが立ち並ぶ「土佐堀通」沿いに、「桃園」という名のその店を見つけた。

 

なぜか看板は外されているが……

 それにしても、周辺の雰囲気とは明らかに趣が異なっている。早い話が、古い。だが、それはむしろ「渋い」と表現すべきだ。

 そもそも、サッポロビールのロゴが入った小さな立て看板を除けば、店があることを知らせる看板がない。正確にいうと、ひさしの上に“あった形跡”は残っているのに、肝心の看板が外されているのである。どういうことか?

 とはいえ、そんな謎も含め、大いに心惹かれる。気配を察したらしいお店の方がこちらを見ているようでもあるし、思い切って引き戸を開けてみよう。

 
 

 まず目に飛び込んできた真正面のL字型カウンターは、深めのスカイブルーである。あまり見ないカラーリングだ。その向こうが厨房で、店主らしき男性が真剣に調理を続けている。その真剣な表情を見たとき、話を聞かせてもらえるのだろうかと緊張したが、とはいえもう後には引けない(引く気もない)。

居心地のよい店内は“B中華の証”

 道路側と左側には、2人がけのテーブル席が4つ。床はグレーを基調とした古いタイル貼り、茶色い壁にもレトロな模様が刻まれており、それら全体が長い歴史を感じさせる。だが掃除が行き届いているので、居心地はすこぶるよい。

 間違いない。これぞまさしくB中華だ。

 

 いちばん奥のテーブル席に落ち着くと、お母さんがお冷をテーブルに置き、そのまま近くの席に腰を下ろす。さっき、こちらの動向をチェックしていた方だ。かなりのお年と見受けるが、とてもシャキッとしていらっしゃる。