昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「運を呼び込む」努力をする――鈴木敏夫が語る「これからのプロデューサー論」

鈴木敏夫×大泉啓一郎『新貿易立国論』対談#2

 日本人が世界で成功するには何が必要か。新しいビジネスモデルを提唱する大泉啓一郎さんが、スタジオジブリの鈴木敏夫さんの仕事術から、海外進出のカギを引き出す対談の第2回。

第1回より続く
http://bunshun.jp/articles/-/7506

◆◆◆

©石川啓次/文藝春秋

「自分は運がいい」と信じるしかない

鈴木 採算を考えたら踏み出せない、といえば、2001年に開館した三鷹の森ジブリ美術館もそうです。

 設立のきっかけは宮崎駿の言葉です。「これまでジブリで長く一緒に働いてきたアニメーターたちも、目が悪くなると絵が描けなくなる。何とかできないだろうか」という。そこでアニメーターたちがグッズなどを販売する店舗を計画していましたが、ある方から「美術館や博物館はどうですか? 三鷹によい土地がありますよ」というお話があった。

大泉 当初から美術館を計画していたわけではなかったのですね。

鈴木 ええ。成り行きですよ。そうなると宮崎は映画製作で忙しいにもかかわらず、理想の美術館の絵を何枚も描いてくる。見積もりでは、宮崎の構想を実現するためには約50億かかるという。

 このころスタジオジブリは徳間書店の一部門でしたから、社長の徳間さんに相談したら、「おう、やれ」と。「いえ、お金が……」というと、「お金はなんとかなるだろう」(笑)。それで銀行に相談したら、「鈴木さん、無茶いいますね」と言われました。それでも当時は『もののけ姫』がヒットして借金を返済していましたから、なんとか検討してくれることになりました。

大泉 50億ですか。大変な計画ですね。

この記事の画像