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無かったことにされる「男の育児」と「高齢者問題」の顛末

回避できない未来の椅子を、どう並べるか

2018/06/01

 先日、萩生田光一さんが待機児童や男性の子育て観を評して「赤ちゃんはママがいいに決まっている」という問題発言をしたと騒ぎになっていました。なぜか海外メディアまでこの発言を批判的に報じるに至り、また政治家が失言やらかしたのかなと思って記事を見てみたら、萩生田さんの喋ったことの要旨が掲載されておりました。なぜ、前後の文脈を切ってそこのところだけ報じたんですかね……。

萩生田氏「赤ちゃんはママがいいに決まっている」:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL5W4F1ZL5WTNAB00D.html

萩生田光一議員 ©getty

萩生田発言とは無関係の「育児頑張ってる俺アピール」

 子供3人育児に奔走する私としては、萩生田さんがそんな間違った話をしているようにも読めません。例えば「0歳の赤ちゃんは生後3~4カ月で赤の他人様に預けられることが本当に幸せなのでしょうか。 子育てのほんのひととき、親子が一緒にすごすことが本当の幸せだと私は思います」というのも、まあ人によってはそういう価値観もあるだろうし、0歳から子供を預けてバリバリ働きたい夫婦もいるでしょうし、なんかこう、0歳から子供を預けられる環境第一で子育て専業の父親や母親のニーズってあんまり省みられないんだよなあと思うわけです。

 で、そこに連なるのは「俺だって育児は頑張っている」という感情的な反応の連鎖です。萩生田さんも男は育児するななどと一言も言っていないうえに、普通に読めば「お母さんたちに負担がいくことを前提とした社会制度で底上げをしていかないと」と母親の負担を減らすためにどうすればいいのかみんなで考えましょうという趣旨の発言であることがスポーンと抜け落ちて、なぜか子育てのジェンダー問題になってしまっている。育児やってる父親からすれば「俺だって育児は頑張っている」っていう反応以外出ないに決まってるじゃないですか。

聞け、父たちの声を。「赤ちゃんはママがいい」と決まってるわけないだろ
https://www.buzzfeed.com/jp/akikokobayashi/babylovepapa

©iStock.com 

 反応がいくつも記事になっているので興味深く読んでいたんですが、この辺とか見ていると、政治家の発言の一部を切り取って失言としたうえで、母乳の出ない父親も子育てに母親と同等で貢献できるという、萩生田さんの発言の趣旨とは無関係の情緒的な反応を並べた内容になっています。子供が生まれたら母親ばかりに負担がいかないよう父親も可能な限り育児参加しましょう、っていう普通の話が、育児を頑張ってる俺アピールになっているのは何故なんでしょう。

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