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本物を超える存在感 須田悦弘が木彫で生み出すクレマチスの花

アートな土曜日

2018/06/02

 静岡のJR三島駅から車で20分ほど。クレマチスの丘はいくつもの美術館、レストランやカフェ、大きな庭園が集まった複合施設である。その中核をなすヴァンジ彫刻庭園美術館で、庭に咲き誇るクレマチスの花と呼応するような展示が開かれている。須田悦弘の個展、「ミテクレマチス」。

クレマチスの丘
 

庭園のクレマチスとそっくりな木彫

 須田悦弘は、朴の木を素材に彫刻をつくり続けているアーティスト。1990年代から、花や雑草など植物をモチーフにした作品を脈々と生み出してきた。

須田悦弘

 今展では、クレマチスの花をかたどった新作がいくつもお目見えしている。庭で見たのとそっくりな花と、展示室で再び作品として出合うのはなんだか不思議な気分だ。

 
 

 そう、須田の作品はいつだって、実物の植物と見紛うばかりの出来栄えで驚いてしまう。どんな修練を積めばこれほどの完成度に至るのかと疑問に思うが、本人いわく彫刻は独学であり、我流に過ぎない。ただし、長年続けてきた蓄積はあって、数をこなすことで初めて習得できるものや見えてくるものはあるとのこと。技術的には、彫れば彫るほど改善点や伸びる面があるので、何年やっても果てしがないと実感しているのだそう。