ポケットベル。1968年から日本でサービスが開始されて以来、営業マンなどにひそかに使われてきたいわゆる「無線呼び出し機」。それは1990年代、突如女子高生を中心に人気が爆発して社会現象となった。
「14106=愛してる」「3341=さみしい」
当時は数字しか入力できないため「14106=愛してる」「3341=さみしい」などと暗号のようなメッセージが送られ、カナ入力ができるようになっても14文字ほどの制限があるなど、今では考えられないほどの制約の中で意思伝達が行われていた。
しかし1998年ごろから携帯電話・PHSがまんべんなく行き渡り、ポケベルはなすすべなく衰退。2007年にドコモが事業から撤退し、2018年現在、日本でポケベルを扱っている会社は、「東京テレメッセージ」だけとなった。
その日本のポケベルを守る最後の砦である東京テレメッセージの代表取締役、清野英俊さんにお話を伺った。話を聞くと、ポケベルは座して死を待つだけでなく、実は大いなる逆転劇を遂げる道の途中にいることがわかったのだ。
いまでも、20年以上前の機種が使える!
まずはポケベルを触らせていただいた。「ベルカム」という機種で、ポケベル全盛期の普及モデル。カナ18文字まで受信することができる。携帯電話は以前の方式の機種が使用できなくなることがあるが、このポケベルでは20年以上前の端末も当たり前のように使うことができた。
はじめての操作で、「変換表」を見ながらおっかなびっくり固定電話のプッシュボタンをポチポチと押していく。「2018ネンポケベルハゲンエキ」の文字は見事に表示された!
当時から安かった月額料金は、いまも2000円程度。なお端末は以前4万円程度したが、いまは端末1000~2000円ほどの格安で買える。
現在、新規受付は停止状態だそうだが、「D-FAX」というFAXの到着通知をメールで受け取るサービスに加入すると、文字は表示されず、呼び出しだけを行うシンプルなポケベルを持つことができるそうだ。