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西武独走、それでもファイターズを楽しむおばあちゃんの知恵袋(うそ)

文春野球コラム ペナントレース2018

 8月14日、お盆休みの札幌シリーズ、ロッテ戦初戦(18回戦)にたった今、敗れたところだ。「有原vs有吉」のアリアリ対決に負けた。ちょっとファイターズは重症だ。さっぱり打てない。みんな心なしか身体が重そうに見える。疲れが出ている。本来なら相手投手陣がバテているところをガンガン打って、打ち勝つのが夏の戦い方だ。なのにこっちが先にバテてしまっている。5連敗中だったロッテに競り負けたんだからこれは本物じゃないか。

 しかも、同じ日に首位西武が0対6からの大逆転サヨナラ勝利だ。オリックスはこれで対西武3連続サヨナラ負けらしい。2位ファイターズは6ゲーム差と完全に置いていかれた。もはや3位ソフトバンク(4.5差)のほうが接近している。おっかしいなぁ、終戦記念日は明日なのに。大田泰示、石川直也、杉谷拳士の離脱がジワジワ効いている。ほんのちょっと前は追撃ムードだったが、ガクッと急降下だ。

 勝敗は時の運だから、軽々なことは言わないようにしよう。明日から流れが逆になるかもしれない。移動ゲームで金曜からメットライフドームの「蒸し風呂」3連戦だ。これがどういう幸運か3つ取れてしまうかもしれない。「移動ゲーム」「蒸し風呂」と疲れやすい条件が重なり、レッドゾーンまで振り切れて、なぜか元気になってしまうような現象だ。まずあり得ないことだが、何があるかわからないのだ。泣き言だけは口にしたくない。

俺たちは結果のファンじゃない。

 まぁ、そういうことでなくても、苦しいとき、勝てないときほど応援するに決まってるじゃないか。勝ってるときだけ応援するんだとしたら、それはファイターズのファンじゃなくて、結果のファンなんだ。今週は僕が指南しよう。首位西武に6ゲーム離されて、熱心なファンでさえうっかり「終戦?」と思ってしまいそうなところを積極的に楽しむ方法だ。ミスをした選手、壁にぶつかってる選手を「イラネ!」と叩いていても楽しくないだろう。第一、愛がない。

 まず、首位と6差。ここから考えよう。西武の独走だ。しかも西武は今日の試合、初回に6点取られたところから「高校野球」だ。浅村、山川がヘッドスライディングを見せたりしてコツコツ返し、最後は「友情・努力・勝利」の少年ジャンプ的サヨナラ勝ちだったという。ムード最高だ。これとやり合うにはファイターズも「高校野球」を買って出る必要がある。ビリビリしびれながら、みんなでひとつの方向を向く。その感動で自分もチームも成長していく。野球の原点だ。栗山英樹監督は『熱闘!甲子園』(テレビ朝日)に特別出演し、第100回記念大会を視察している。「プロ野球で高校野球をやる」はそのときぶち上げた構想だ。

 首位と6差。誰が考えたって大型連勝が要る。メークドラマだ。起爆剤になるドラマが欲しい。楽しむ方法その1、栗山監督が何を仕掛けるか。これは見ものですよ。あの人、何かやろうとするに決まってるじゃない。既に16日のロッテ戦(この原稿のアップ日だ!)は、移籍してきたばかりの藤岡貴裕先発が準備されてるらしい。2軍でもアップアップしてる藤岡を1軍で使うのだ。大いなる賭けだ。賭けははずれることもある。はずれたらはずれたで「不発か〜」とみんなで頭かけばいいじゃない。栗山さん、すぐに次を仕掛けるよ。これはファイターズファンだけが特権的に「我がこと」として面白がれる案件だ。秋まで色んな手を考えてくれる。このまましょんぼり暮らしたってつまんないよ。面白いものを見よう。どうやって栗山さんがチームを「高校野球」へ持っていくか、そのテンションを形成するか、手腕を楽しもう。

ロッテからトレードで日本ハムに移籍し、入団会見で笑顔を見せる栗山監督と藤岡貴裕 ©時事通信社

 僕はシーズン最後(9月30日から)の西武3連戦に、函館で中止になった分が加わって4連戦ということになると思っている。楽しむ方法その2、果たして何ゲーム差でそこまで持って行けるだろう。ここで決戦を挑むんだ。

 そして重要なことは(楽しむ方法その3!)その決戦の成果がポストシーズンの戦いにどうつながるかだ。最終4連戦でひっくり返して優勝がもちろん望ましい。3ゲーム差以内ですべり込み、ホーム球場の利を生かして逆転優勝、これが理想形だ。が、ダメだったとしても手応えをつかめばいい。CSで西武を打ち負かす根拠を手にする。ピークの設定は今じゃない。ずいぶん先だ。今は死んだフリをして力をたくわえればいい。