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沖縄県知事選 発言で読み解く「沖縄vs.安倍政権」と「日本会議」

一騎打ち、その対決の構図とは

2018/08/25
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 8月8日、沖縄県の翁長雄志知事が膵がんで急逝。それにともなう沖縄知事選が9月13日告示、9月30日投開票というスケジュールで行われる。すでに選挙戦の構図は固まりつつあるようだ。関係者の発言を振り返りながら概観してみたい。 

玉城デニー氏「オール沖縄」候補擁立へ

玉城デニー 自由党・衆院議員 
「翁長知事のあらゆる遺志を引き継いでいきたい」 
沖縄タイムス+プラス 8月23日 

玉城デニー氏 ©時事通信社

 翁長氏を支持してきた県政与党や経済界、労働団体、中道保守勢力などでつくる「調整会議」は23日、自由党幹事長で衆院議員の玉城デニー氏の擁立を全会一致で決め、出馬要請を行った。玉城氏は「全会一致での出馬要請は光栄だ」と受諾。近く、出馬を正式に決定する。 

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 知事選の大きな争点となるのが、同県名護市の辺野古新基地建設問題だ。玉城氏は基地建設に反対する「オール沖縄」の候補として出馬することになる。玉城氏は「翁長知事のあらゆる遺志」について、次のように語っている。 

「私はかねて翁長知事の姿勢を尊敬していた。真の沖縄の保守政治家でありながら、沖縄の歴史や伝統、風土、生活に根差し、沖縄が将来自立する道を探っていたこと、これ以上沖縄に新しい米軍基地はいらないと断言していたこと、全てが翁長知事の遺志だと思う」 (沖縄タイムス+プラス 8月24日 )

 また、「調整会議」の照屋大河議長は玉城氏について「『翁長知事の遺志を引き継ぐ人』『オスプレイ配備撤回、普天間飛行場の県内移設断念の建白書実現に全力で頑張る人』という選考基準に照らして最適任であること、翁長知事の信任の厚い人であることを確認し、決定した」と述べていた(琉球新報 8月24日)。玉城氏は翁長氏が生前に後継候補として名前を挙げていたことが判明している(毎日新聞 8月24日)。 

沖縄県宜野湾市の佐喜真淳前市長が対抗

佐喜真淳 宜野湾市前市長 
「対立から協調へ、未来志向で沖縄のあるべき姿を見据えなければならない。国との関係を改めて構築することが欠かせない」 
共同通信 8月14日 

佐喜真淳氏 ©時事通信社

 8月14日には沖縄県宜野湾市の佐喜真淳前市長が知事選への立候補を表明しており、玉城氏と事実上の一騎打ちとなる。 

 佐喜真氏は米軍普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古への県内移設を推進する安倍政権が全面的に支援しており、自民党県連などでつくる候補者選考委員会からの出馬要請を受諾した形での出馬となる(産経WEST 8月14日)。保守系では日本青年会議所(JC)会頭を務めた安里繁信シンバホールディングス会長が出馬を表明していたが、菅義偉官房長官が8月10日の夜に沖縄入りして安里氏と会談。説得して出馬辞退をとりつけ、保守系の分裂選挙を回避した(現代ビジネス 8月18日)。 

 佐喜真氏は記者団に対し、辺野古の新基地移設について「(普天間飛行場の)移設先は後日しっかりとお答えしたい」と述べるにとどめ、明確な賛否は示さなかった。普天間飛行場返還については「街のど真ん中にある飛行場を一日も早く返還することが必要だ。固定化はあってはならない」と早期の返還を訴えている(沖縄タイムス+プラス 8月15日)。20日、公明党は推薦決定に先立ち、佐喜真氏と政策協定を結んでいるが、辺野古移設の是非には触れていない(時事ドットコムニュース 8月20日)。 

 一方、翁長氏の県政運営については「国との関係について争いが絶えず、ひずみや分断が生まれた」と批判した上で「国との関係を改めて構築することが欠かせない」と強調した。