昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

韓国にあって、日本にはない最新軍事テクノロジーの「国際開発力」

座談会・新しい技術と戦争の将来(前編)

2018/08/30

――最新の軍事テクノロジーは、名前は聞いたことがあっても、実際にその最先端で何が起きているのか、なかなかイメージしにくい部分があります。今回は、サイバー、ドローンといった分野にフォーカスを当てて、何が可能になっているのか専門家のみなさまにお聞きしたいと思います。

 個人的には、軍事技術の進歩は非常に過小評価されていると感じています。私が調べている3Dプリンタにしても、「プラスチック製品しか作れないんでしょ?」と言われます。もちろんそんなことはありません。ドローンやサイバーも実戦段階にはないと思われている。

 しかしながら、いまや民生技術は自衛隊や米軍が持っている兵器よりも発展しています。

司会の部谷直亮氏

ドローンはスマートフォンの部品で作られた

南政樹 私はドローンの研究をしています。そもそも、ドローンっていう名称はイギリス軍の標的機につけた名前に由来しています。それから偵察機として発展してきた経緯があります。

 iPhoneが登場した時に、いくつもの機能を集積した電子部品を作らなきゃいけないのですが、そういった半導体製品が大量に作られていく過程で、中国の深圳界隈で大量の部品が流通するようになった。そこから何ができるかというときに、一部の事業者が空を飛ぶ「おもちゃ」を作り始めたという経緯があります。

――ガンダムと量産型ガンダムみたいな関係なんですね。

 ドローンとスマートフォンは、使っているセンサーはほぼ同じです。加速度センサーとかそういったものが全部転用できます。たとえば、同じ部品でも求められる精度や品質からスマホはA級品、おもちゃのドローンはB級品というような棲み分けができるようになっています。

ドローンの専門家・南政樹氏

サイバー戦争は20年前から変わらない

――林さんはいわゆるホワイトハッカーとして活動しているわけですが、サイバー戦の動向も近年変わっているのでしょうか。

林真吾 「サイバーの戦争」ってなかなか議論の整理が難しい問題です。サイバー戦とか、ネット戦、電子戦といった概念がごちゃごちゃになっていくんですね。

 実は意外かもしれませんが、サイバー空間はそんなに変わっていないんですよ。20年ぐらい前から存在する攻撃方法で対象を変えているに過ぎない。具体的にはメモリ破壊系の脆弱性やメールを送りつける攻撃がありますが、時代に合わせてちょっと作り変えているというだけで、その攻撃のテクノロジーや防ぎ方といった基本的な仕組みはあまり変わっていないですね。

――興味深いですね。20年前から基本的な手法が変わっていないのであれば、「サイバー攻撃」は常に追いかけっこ状態なんでしょうか?

 追いかけっこでもないです。100%防げる攻撃はたくさんありますし。むしろ、その「いたちごっこ感」をみんな感じているとすれば、もしかしたらその認識が問題なのかもしれないですね。

 例えば脆弱性の自動発見技術が出ているので、何かソフトウェアを入力するとその中で攻撃の起点となるような脆弱性を探し出して、そこを突いて未知の攻撃になる。そうやってアンチウイルスが対応できないような攻撃点を狙っていくような技術がもうあります。