3月28日、参院本会議で平成30年度予算が可決・成立した。この予算に関するマスメディアの報道を見ると、過去最大の97兆7000億円にものぼる一般会計総額とともに、陸上設置型ミサイル防衛システムのイージス・アショアや長距離巡航ミサイルの取得費が計上され、過去最大となる5兆1911億円となった防衛費に言及がされていることが多い。

 しかし、防衛費に関しては、他国との相対的な要素が強い点が大きいことに留意しなければならない。一国の防衛費が増加したからといって、その周辺国との比較の上で、その増加がどういう意味を持つのかを考える必要がある。そこで防衛費の質的な比較・検討が重要となるが、まずは防衛費の総額そのものを主眼において話を進めてみよう。

建軍90周年を記念して行われた中国人民解放軍の軍事パレード ©getty

日本周辺各国の防衛費の推移を見てみると……

 防衛費の総額といっても、各国の防衛費の考え方や組織の違いもあり、単純な比較が難しい。例えば、中国で公表されている防衛費には、技術開発関連の費用は含まれていないとされている。また、現在の日本では、海上の警備・水路業務は海上保安庁が担当しているが、独自の沿岸警備隊を有さず海軍がその職務を行っている国もあり、そうした国々とは単純に比べることはできない。

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 そこで、国際紛争研究で著名なストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が集計・公開しているデータベースを用いて、日本周辺国の防衛費の20年分(1997年~2016年)の推移を見ていこう。SIPRIのデータを元に、日本、中国、韓国、台湾、ロシアといった日本周辺国(北朝鮮はデータ無しなので除外)の防衛費の推移を以下にグラフ化する。

出典:SIPRI Military Expenditure Database