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もう“猫愛”がとまらない 『俺、つしま』×『猫ニャッ記』対談

リアルな猫を描くコツから地域猫問題まで語り尽くす

note

簡略化されていても伝わる、それぞれの猫の特徴

佐久間 お米に似てるって(笑)。そして気に入ってるんですね、妹さんも……。最初は「すごいキャラだな!」と驚きましたが、すぐに慣れました。

おぷう兄 『猫ニャッ記』に出てくる、佐久間さんのだんなさんのルックスも結構すごいと思います(笑)。坊ちゃん刈りで、ちょっとかわいらしいです。 

佐久間 えっ、夫のルックス、すごいですか? 確かに坊ちゃん刈りで、言われてみれば、とくに前髪切りたての時期は、面白いです(笑)。

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佐久間さんのだんなさん、大作さん ©佐久間薫

おぷう兄 漫画に出てくるだんなさんは、とても優しくて温厚な方という印象です。きっと実物もその通りの方なんでしょうね。

佐久間 そうですね、夫は小さい生き物などにもやさしいですね。

おぷう兄 佐久間さんの描く猫の絵は一見すると簡略化されていますが、それぞれの猫の特徴がよく伝わってきます。「ああ、この子はいつもこういう表情をするんだろうな」って。人間の絵が大雑把なところは、自分と同じかもしれませんね。今回は猫漫画ということで、このような優しくてふんわりとしたテイストの絵にされたんですか?

佐久間 昔は少女漫画を描いて投稿していたので、今とは全然違う絵柄だったんですが、その後、4コマ漫画や猫漫画を描くようになり、だんだん簡略化されていって、今のような絵柄になりました。キッチリ定規を使って背景を描くのがしんどかったので、今のスタイルは楽しく描けて、自分に合っていると思います。お兄さんは、2005年から妹さんの猫ブログに絵を描かれていたそうですが、それ以前に漫画や絵の勉強をされていたのですか?

「向学心も何もなく、ただ描くだけ」だった子ども時代

おぷう兄 勉強はしてないです。読んだ本や見た絵が先生です。

佐久間 ええっ、そうなんですか! 猫はもちろんのこと、人物や背景も安定のうまさだったので、てっきり美大とか専門学校に行かれていたのかと勝手に思っていました。絵は小さい頃からよく描かれていたのでしょうか? 

おぷう兄 物心がついたときから紙とペンさえ与えておけばおとなしい子どもでした。向学心も何もなく、ただ描くだけ、みたいな。その頃から読ませる相手は、まず一番手近な妹なので、今やっているのもその延長ですね。

佐久間 やっぱり好きって力はすごいですね。相当描いてらっしゃったんでしょうね。見せる相手である妹さんがいたことも大きいですよね。客観的な意見が聞けるし、張り合いもあるだろうし。

おぷう兄 佐久間さんが猫の漫画を描くようになったきっかけは? 

佐久間 猫と暮らす前から日常に起きたことをコミックエッセイにしてブログにあげていたので、猫が家にやって来て、自然と猫の漫画も描くようになりました。お兄さんの使われている画材は色鉛筆ですよね? 毛の色とか本当にすばらしくて、どうやって描かれているのか知りたいです。細かいので時間もかかりそうですよね。

おぷう兄 主にボールペンと水彩色鉛筆を使っています。色鉛筆で彩色した上から「いい感じにインクの切れかかった筆ペン」なんかでなぞると、いい感じに滲んだりくすんでくれたりしてさらにいい感じになったりするんですよ(笑)。最近はコピックでなぞったりもしています。猫の絵には「おじいちゃん」の絵のざっと50倍ぐらいの時間がかかります。

猫とおじいちゃん ©おぷうのきょうだい/小学館

佐久間 うわ、50倍! 差がすごい(笑)。でも、猫が際立つから、おじいちゃんはシンプルでいいのかもしれませんね。