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国土交通次官が初めて“踏み込んで”語った「どうするJR北海道」

森昌文 国土交通次官インタビュー #1

2018/09/10
note

どうする、どうなる「JR北海道経営問題」

――さて現在、国交省の抱えている課題の中でも注目されているのが「JR北海道の経営問題」です。国交省は7月に、JR北海道に対して2年間400億円の支援をすると発表しました。次官はJR北海道の問題、率直にどうお考えですか。

 JR北海道が公共交通としてしっかり役割を果たしていることは間違いありません。ただ、それに対する交通需要が充分じゃないこともあって、非常に厳しい状況にあります。その中で、利用の少ないところでは、まずは地元の皆さんが中心となって利用促進をして頂くこと。そして、サポートとしてまずは、2年間国からお金も少し手当しましょうということで、打ち出させていただきました。――と、ここまでが国土交通省の公式見解です。で、少し私見を言わせていただければですね……。

 

――ぜひお願いします。

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 この問題でいちばん大事なのは、公共交通って何なのかということだと思うんです。“公共”交通というからには、どこまでいってもプライベートではなくてパブリックなんですよ。でも、現状ではパブリックをどこまで支えていくのか、その視点での議論が充分されているとは言い難い。世界的に見れば、公共交通は国あるいは自治体がサポートして生き残らせていくものというのが当たり前。その点、日本ではどうしても採算が重視されます。海外の政策担当者に、こうした日本の実情を話すとみなさん不思議そうにします。「だってパブリックだろ?」って。

 

採算重視の公共交通には日本ならではの成り立ちがあるのでは

――確かに日本では、国鉄は民営化されてJRも民間会社ですし、都市部の大手私鉄も含めて、公共交通は民間の力で運営されているのがすっかり当たり前になっていますね。公共サービスでありながら商売でもある側面を持っている。

 もともと、鉄道は地域の篤志家の方たちが私財を投じて建設し、それを統合して国鉄になったという経緯があります。また、国鉄の経営が悪化したときにも採算性が盛んに議論された。こうした日本ならではの交通体系の成り立ちが背景にあるのではないかと思います。採算性を考えて、成り立たないならどんどん廃止していくのが当たり前じゃないか、それが経済なのだからと。日本人の公共交通に対する捉え方ということでしょうか。