1964年、東海道新幹線が開通してから54年。新幹線は本州を軸に、北海道函館から九州鹿児島までがつながり、さらに秋田、山形、新潟、金沢までに広がる日本の大動脈を形成するに至っている。その長さ(営業キロ)たるや総計で3000キロを超え、駅の数は100に及んでいる。
なぜ新幹線の駅に「印象的な」駅がないのか
毎日ビジネス客、観光客、帰省客など大勢の乗客で賑わう新幹線だが、果たしてこの100の駅のうち、人々の印象に残る駅はどのくらいあるだろうか。自分自身、職業柄、国内の移動は多く、東海道新幹線や東北新幹線などは頻繁に利用しているが、たとえば眠っていてふと目を覚まし、停車している駅をみて、即座に駅の名前が浮かんでくるような「印象的な」駅は思い浮かばない。
どちらかといえば新幹線の駅はどこも無味乾燥な、機能的な駅でしかなく、旅人がその駅に降りてその地方の「匂い」や「気配」を感じることは稀である。
新幹線を下りて駅のホームに立つ。そして階段またはエスカレーターやエレベーターを使って改札へ、スムーズな移動には何の問題もない。改札付近にはお土産店が並び、地元の特産品も並んでいるが、ただ品物を並べているだけのお店が多いようにみえる。
駅前ロータリーはどうか。どの駅も構造はほぼ一緒。タクシーやバスの乗り場があり、ありふれた光景の中に地方色を感じることは少ない。
機能性にすぐれていることは、旅で移動するには不可欠の要素だが、新幹線の駅に「感動」することは少なく、駅は単なる「通過点」にしかすぎない、これが多くの新幹線の駅およびその周辺の現状ではないだろうか。
97もの空港が存在する日本
国内には現在、97もの空港が存在する。いくら日本が南北に長く、山岳の多い国だとはいえ、この数の多さには驚かされる。空港の「つくりすぎ」は公共投資の「無駄遣い」としてマスメディアからも随分と批判されてきた。
さてこの空港の中で旅人の印象に残っている空港はどれほどあるだろうか。空港に降り立ったときに旅の「ときめき」を感じるような空港は思い浮かばない。
日本の空港は福岡空港などの一部空港を除き、市街地から離れているものが多く、飛行機から降り立った乗客の頭は市街地に向かうリムジンバスの時刻表でいっぱい、というのが実態ではないだろうか。