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「この従業員、感染していないだろうか……」ロックダウン心理的ストレスの恐ろしさ

「自己中心的な行動をするな! 家にいて命を守れ」と市長は一喝

2020/03/31
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 自分が感染したら高齢の親の世話ができなくなるので、まずは自分の健康管理に気を使っているという友人。食品の買い出し以外は外に出ず、家族で家に籠っているという友人。心理的ストレスに襲われ、気持ちが沈んでいる友人もいる。

 新型コロナが心に与える影響はとても大きい。

 1月から新型コロナの情報ばかり追っている私自身、神経症になるのではないかと感じることもある。原稿を書くために様々な情報に触れるほどに、心臓の鼓動は早まり、過呼吸になり、息苦しさに襲われている。喉に違和感を覚えることもある。そして不安になる。もしや感染してる? 体温を測る。37度ない。じゃあ、大丈夫かな。でも、発熱症状が出ない人もいるというし。きっと感染しているに違いない。私の中で、「想像妊娠」ならぬ「想像感染」のような状態がずっと続いている。

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心を明るくしてくれるアンジェリーノたちの言動

 気弱になった私を励ましてくれるのは、今、新型コロナの危機の下、アンジェリーノたちが助け合っているということだ。

©iStock.com

 ホームレスの人々のために、不要になったタオルを多くの人から回収している女性がいる。職を失ったレストラン従業員のために、無料の食事を提供しているレストランもある。地域の「小さな図書館」(地域社会の人たちに小さな箱に収められた本を無料で貸し出すという非営利の運動)は「小さなフード・パントリー」にかわっている。職を失くした人が持ち帰ることができるよう、地元の人々が本の代わりに、缶フードなど保存のきく食品を入れるようになったのだ。

 家を回って、外出禁止令のため籠っている家族のポートレートを無料で撮り歩いている写真家もいる。家族がいつかその写真を見て、今この時のことを思い出すことができるように。

 住宅地には芸を披露して、住民を楽しませているパフォーマーも登場している。

 長期に渡る外出禁止令が出たからといって何もできなくなるわけではない。自分に何かできることはないか? 何か助けられることはないか? そんな気持ちを持ちながら、彼らは自分の役割を模索し、果たそうとしている。

 東京でもロックダウンが起きるかもしれない。そうなった時、自問してほしい。

 自分に何かできることはないだろうか?

「この従業員、感染していないだろうか……」ロックダウン心理的ストレスの恐ろしさ

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