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「この従業員、感染していないだろうか……」ロックダウン心理的ストレスの恐ろしさ

「自己中心的な行動をするな! 家にいて命を守れ」と市長は一喝

2020/03/31

 今朝もまた、救急車のサイレンの音で目覚めた。

 1週間ほど前から、この音を頻繁に耳にするようになっている。その度に思う。近くでまた新型コロナウイルスの感染者が出たのか。救急車で運ばれるとは、重症に違いない。1人想像しながら、恐怖感に襲われている。次は我が身か。

 私は、ロックダウンされているカリフォルニア州ロサンゼルスのビーチタウン、サンタモニカに住んでいる。古い女で恐縮であるが、桜田淳子の「来て来て、来て来て、サンタモニカ~」のあのサンタモニカである。この歌詞とは裏腹、今、ここには、「来るな来るな、サンタモニカ~」の空気が漂っている。

 ロックダウン、つまり、外出禁止令が出された直後、サンタモニカには多くのアンジェリーノ(ロサンゼルスの人々)が押しかけたからだ。

外出禁止令後に道路脇の芝生で運動する人々 ©Getty Images

ロックダウンでもできること・できないこと

 もっとも、外出禁止令とは言っても、まだできることは様々ある。

 食料品や薬など生活必需品の買い出しや、病院やクリニックでの受診や治療など生活に不可欠な行動を取ることはできる。ケアをするためなら友人や親族を訪問することも可能だ。銀行などの金融機関にも行ける。乗客の減少から間引き運転されてはいるがバスや電車など公共交通機関の利用もできるし、車での移動も可能だ。

 レストラン内での飲食は禁止になったが、レストランのフードのテイクアウトはできるし、デリバリーを注文することもできる。他の人と6フィート(1.8メートル)の社会的距離をあけている限りは、屋外での散歩、ジョギング、サイクリング、ワークアウトなどの活動もできる。

 反対にできないのは、市民生活を支えるのに不可欠な仕事(インフラ整備や医療関係など)以外の仕事に行くこと、緊急性のない友人や親族宅への訪問、病院や介護施設などへの訪問、他都市への必要のない訪問、ビーチで群れること、グループで行うスポーツをすること、グループで行う野外活動に参加することなどだ。

「それでも自由を謳歌したい」市民と政府のモグラ叩き

 しかし、外出禁止令が出ても、ワークアウト大好きで、アクティブなアンジェリーノは1日中、家に閉じこもってなどいられなかった。サンタモニカのビーチには多くのアンジェリーノが集まって来たのである。結果、ビーチでは「6フィートの社会的距離」が取れない状況が生じてしまった。同じ状況は、登山用の遊歩道でも生じた。

 ロサンゼルス市長は「自己中心的な行動をするな! 家にいて命を守れ」と市民を一喝、ビーチと遊歩道はあっという間に閉鎖されてしまった。