しかし、それでも、アンジェリーノは青い空と強い日差しを求めた。アンジェリーノの足は、今度は、海のそばの公園へと向かった。私もよく散歩している公園で、外出禁止令後も、運動不足にならぬよう、時々、散歩していた。
普段は空いている公園なのだが、子供を遊ばせに来た親たちや、散歩やエクササイズをしたりするアンジェリーノで、連日、賑わうようになった。
だからだろう、その公園も、数日前に閉鎖されてしまった。それでも、無視して、中に入る人々がいるため、ポリスは「公園は今閉鎖されています」というアナウンスをして、公園にいる人々を追い出しにかかった。
しかし、公園から追い出されたアンジェリーノはそれにもめげることはなかった。彼らが次に向かった先、それは、車が行き交う大道路脇にある狭い芝生だ。先週末は、そんな芝生の上でピクニックしたり、エクササイズしたりする人々の姿が見られた。
私が住むアパートの前庭でも、住民がラグを広げて友人たちとワイングラスを傾けていた。新型コロナの陰鬱なニュースが流れる閉塞感に満ちた毎日、アンジェリーノは少しでも自由を謳歌しようと躍起になっているのだ。
ロサンゼルスでマスクをかける抵抗感
外出禁止令が出された後、家に籠っていた私にとっては、スーパーに食料品の買い出しに行くことが待ちに待った外出の機会となってしまった。のんきなアンジェリーノたちとは裏腹に、私はそんな買い出しにも、恐怖感を覚えるようになっている。
毎朝ジョンズ・ホプキンス大学が出している感染者数や死者数の集計をチェックしているのだが、アメリカでその数が急増している状況を目にする度、私の中で感染に対する「恐怖指数」が高まっているからだ。サンタモニカも、米国時間3月30日現在までに、47人の感染者が確認されている。
それでも、買い出しに行かないことには食べて行けない。私は日本から持ち帰ったマスクを最近になってやっと使い始めた。
実は、3月初めに日本から帰米してから、長い間マスクを使えずにいた。マスクを身につけている人は皆無といっていいロサンゼルスで、1人、身につける勇気がなかったのだ。