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絶対に忘れない…スワローズの“三柱”内川、坂口、嶋がチームに遺してくれたもの

文春野球コラム クライマックスシリーズ2022

2022/10/15
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 2022年10月3日。神宮球場で行われた横浜DeNAベイスターズとのシーズン最終戦。

 内川聖一、坂口智隆、嶋基宏という、プロ野球界をそれぞれのスタンスで長年引っ張ってきた素晴らしい選手達が現役生活に幕を下ろしたこの試合。

 スワローズ史上最強の4番、村上宗隆がシーズン最終打席で放った歴代日本人最多の56号ホームラン。そして、長岡秀樹、内山壮真という次代のスワローズを担っていくであろう選手達のホームランなどで快勝したスワローズ。

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引退セレモニーを終えた(左から)坂口智隆、内川聖一、嶋基宏 ©時事通信社

ベンチ内はともかくグラウンドの選手も号泣

 引退する選手が涙を流すのはよくあることではありますが、3選手が最後まで必死にプレーする姿を見て、ベンチにいるほとんどの選手が涙を流していました。

 引退する選手と同年代の選手だけが涙していたのではありません。

 村上宗隆、塩見泰隆、長岡秀樹らの若手選手が、ベンチ内ならともかく、グラウンド上で涙を流していました。

 長く野球を観てきましたが、こんな光景は今まで見たことがありません。

存在自体がチームの力

 3選手とも、それぞれが以前所属していた球団の看板選手であり、功労者であるのになぜ放出するんだろう。

 とかつては疑問に思っていました。

 しかしその結果、“存在自体がチームの力になる”という特別な選手がそれも3人もスワローズの一員になってくれた。

 そしてそこには、彼らから【何かを学びたい】という想いを持って、何かを得ようと努力する選手がたくさんいたし、そういう選手達に対して3選手ともそれぞれのやり方で、【心・技・体】さまざまなものをスワローズというチームに伝えてくれたんだと思うんです。

 そうでなかったら、あんなにみんなが涙することは絶対にない。

髙津臣吾監督や知己の人々がねぎらう光景に……

 試合中はもちろん、試合後のそれぞれのスピーチと髙津臣吾監督のスピーチ。

 内川選手には元ソフトバンク監督の工藤公康さん、坂口選手には元ヤクルトで香川オリーブガイナーズ選手兼任コーチの近藤一樹投手、嶋選手には楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手という、おのおのが一番長く在籍した球団でプレーした監督や仲間からの花束。

 あの素晴らしい光景を観た時に、僕はスワローズの日本シリーズ2連覇を確信しました。

 こんな一枚岩のチームが絶対に負けるはずがない。

 この3人を最後に笑顔で送り出すことができたチームが、負けるはずがない。

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