■紅麹サプリを摂取していた患者に共通してみられた「ファンコニー症候群」
小林製薬は「サプリと健康被害との因果関係は分からない」と説明しているが、紅麹サプリを摂取していて入院した患者2人を診察した医師は、症状に“ある共通点”があると話す。
市立東大阪医療センター 腎臓内科 藤村龍太医師:(腎臓の)尿細管という部分に障害が強くなっていて、一部は“焼け野原”のような状態でかさぶたになっている。体内に必要な電解質が(尿に)漏れ出る『ファンコニー症候群』まで至っているのではないかと推察しています。
共通点とは、「ファンコニー症候群」。ブドウ糖などの体にとって必要な栄養素を腎臓で吸収できず、尿として過剰に排出され、倦怠感など体調不良を引き起こすものだ。日本腎臓学会の調査でも健康被害を訴える患者の大半で食欲不振、嘔吐、頻尿などの症状が確認されている。
市立東大阪医療センター 腎臓内科 藤村龍太医師:比較的短期間の内服でも、このような腎障害をもたらすと考えますと、サプリメントに含まれる物質、同定できていない部分もありますが、非常に“毒性の強いもの”が考えられるのではないかと思います。
「毒性の強いもの」とは、いったい何なのだろうか。
■「未知の成分」含まれる紅麹原料 どこで異変が起きたのか
紅麹は、昔から中国の酒や沖縄の伝統料理「豆腐よう」に使われ、健康に役立つ発酵食品として親しまれてきた。小林製薬ではさまざまな食品に使うため、原料を粉末にして多くの企業に販売していた。
記者リポート:未知の成分が確認された紅麹原料は、ここ小林製薬の大阪工場で作られたということですが、老朽化のため去年12月に工場は閉鎖され、今は閑散としています。
およそ80年稼働していた大阪工場。大阪市は3月、立ち入り検査を行ったが、紅麹を製造する機械などはすでに新しい工場に移されていた。
その中で、原因究明の貴重な手がかりとなるのは、紅麹原料から確認された「プベルル酸」。厚生労働省によると、青カビを由来とする天然化合物だということだが…