文春オンライン

小林製薬の『紅麹』 通常の3倍以上の培養期間、約80年稼働の工場設備の老朽化 見えてきた“予期せぬ物質”発生の可能性

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 企業, 社会

note

記者リポート:医学系論文を検索するサイトで『プベルル酸』を調べてみると、わずか6件しかヒットしません。

「プベルル酸」は世界的に見ても極めて研究の数が少ない。6件のうち4つの論文を発表している北里大学は関西テレビの取材に対し、マラリアに感染したマウスへの毒性は確認されたものの、「人体への影響は分からない」と回答しした。

「未知の成分」が含まれる紅麹原料。異変は、どこで起きたのでしょうか。

ADVERTISEMENT

■小林製薬の製造法 通常の3倍以上の培養期間でリスク増大か

 

紅麹原料は、紅麹菌と蒸した米を混ぜ、培養したものを乾燥させて粉末にする。紅麹を長年製造している別の企業は、培養には特有の難しさがあると指摘する。

紅麹を製造する企業:紅麹菌は他の菌と比べてとてもデリケートで雑菌が入りやすい。衛生管理の徹底が重要。

専門家は、詳しい状況は分からないとした上で、そもそも扱いが難しい紅麹に対し、小林製薬が成分濃度を高める独自の製造法をとっていたことに注目している。それは、「通常の3倍以上の培養期間」。

琉球大学 橘信二郎教授:長く培養するとそれだけ水分を入れたり手を加えることになるので、温度コントロール、水分コントロールが難しくなってくる。手入れが増えると、それだけ汚染リスクが増えることですから。

通常の3倍以上、およそ50日という長い培養期間があると、その中で何らかの異物が混入したり、発生したりするリスクが高まるというのだ。

■大阪工場のタンクが老朽化していた可能性も

 

また別の専門家は、大阪工場で過去に培養タンクに温水が混入したというトラブルから、タンクが老朽化していた可能性も指摘する。

園田学園女子大学 渡辺敏郎教授:もし仮に小さな亀裂であるとか、パッキンが劣化していって、そこから水が入って影響してきたということは、考えられるとは思います。

-Q.途中で青かびの混入に気付かない?
園田学園女子大学 渡辺敏郎教授:最初だと気付くと思います。最初の段階では赤い色していなくて、お米の色をしています。お米の色をしているところに最初に青かびが入ってきたらおかしいと絶対気付く。ただ、ある程度紅麹が生えてきて、赤い色、ピンク色になってきて、そこにちょっと青カビっぽいものが混ざっていたとしても、多分気が付かないんじゃないかと思います。