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「劇的な回復ぶりに、私自身驚きました」
最初に投与した重症肺炎患者は、酸素吸入をして起き上がることもできない状況だったが、オルベスコを投与後2日で、食事が摂れるようになり、自分で歩けるまでに回復した。
「劇的な回復ぶりに、私自身驚きました。正直、“救われた”と思いました」(岩渕医師、以下同)
その後も髄膜炎を併発した重症例をはじめ、3月末の時点で6人の新型肺炎患者にオルベスコを使った。患者はいずれも退院、もしくは回復傾向に転じている。
「オルベスコは、実験室の結果ではウイルスの増殖抑制作用が認められているが、実際に人間の体内でどのような働きをしているのかは分かっていない。ただ、一つ言えるのは、この薬は安全だ、ということ。それがなければこの薬を使っていたかどうかわかりません」
戦争に例えられる現状、未知のウイルスを相手に、兵器は何種類あっても不都合ではない。暗闇の戦いの中で、オルベスコという新兵器を手にした岩渕医師は、こうつぶやいた。
「わずかに視界が開けてきたような気もする……」
岩渕医師の貴重な報告は、「文藝春秋」5月号及び「文藝春秋 電子版」に掲載した「現場医師の報告 新型肺炎『重症化』の苦しみ」でくわしく読むことができる。
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