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「吉原では1日6~7万稼げていたのに蒲田では2万円」……“夜の街”で働く人々の言い分と懐事情

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「大丈夫っしょ。コロナは風邪みたいなもの」

「“推し”(指名ホスト)が感染したことが分かったのは6月末。私が『最近のコロナ感染、ヤバくね?』って話を振ったら彼が『大丈夫っしょ。4月頃、俺も1回罹ったけど大丈夫だったし。コロナは風邪みたいなもの』って言われて。(感染から)2カ月経っているので、私も『まぁいいか』って思った」

 そう話すのは川崎・堀之内のソープで働くシングルマザーのA子さん(22)だ。

 新宿のホストの感染者数が急増しているのには別の理由もある。6月中旬、新宿区が区内在住のコロナ感染者に対し、10万円の見舞金を支給する方針を打ち出したからだ。

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「積極的にPCR検査を受けたほうが得ですよ。感染していても俺たちは若いから症状なんて出ないし、それで10万円が貰えるなら受けない理由はない。保健所も『ホストです』というだけで優先的に検査してくれる」(ホストクラブ関係者)

 新宿区役所の担当者が説明する。

「感染拡大防止策の一環としてやっているものです。7月中旬~下旬に該当者(感染者)に郵送でご案内をして、申請書が役所に返送され次第、8月中旬~下旬にかけて順次振り込む予定になっています」

彼らが夜の街から離れない理由

 しかし、ホストやキャバ嬢、風俗嬢はなぜ、コロナの感染リスクを承知の上で、夜の街から離れないのか。

 歌舞伎町のクラブで働くホステス歴25年以上のB子さん(40代)は、沈痛な面持ちでこう語る。

「私たちだって明日を生きるために命懸けで働いているんだけどな。巷では『普段いい思いをしているんだから営業停止にしちゃえばいい』と言われているけど、実際私たちの生活は質素ですよ。お客さんのいない40代は時給1800円からスタート。シングルマザーや親の介護、各々事情があって生活費の補填をしたいからやっている場合がほとんどです」

※写真はイメージ

昼間の仕事を見つけようと面接にも行ったけれど……

 別の40代キャバ嬢C子さんもこう続ける。

「店が休業になって、慌てて昼間の仕事を見つけようと、あらゆる業種の面接に行ったんです。でも、十数回受けて全部不合格。パソコンや英語ができれば話は別だけど、今の時期は採用の枠が本当にない。知人のホステスはベルトコンベアーが流れる工場で単純作業をするパートを始めました。時給は900円。妻に先立たれた後期高齢者を探して、30~50万円のお手当を貰ってエッチをしたり、山にドライブに行ったりする“パパ活”に励む子も多い」

※写真はイメージ

 池袋在住のデリヘル嬢・D子さん(40代)は家からデリヘルの待機所に通う手段をタクシーからママチャリに替えた。

「週5回の勤務で貰えるのは月15万円以下。お茶を挽くかもしれないという不安が常にあるので趣味のラーメン食べ歩きを断ち、ほとんどマクドナルドです」