たとえば、いずれも仕事に対してどこまでも真摯であるということ。戸田恵梨香は、《私は立ち止まりたくないんですよね。泳ぐのをやめたら死んでしまうマグロみたいなところがあって(笑)。だから、たぶん…自分がこれ以上進化しない、前に進めないと思った時が引退なのかなって思っているんです》と話すほど(※3)、俳優という仕事に情熱を注いでいる。
松坂桃李と戸田恵梨香の「共通点」
もっとも、だからといって人生のすべてを俳優業に賭けてしまうわけではない。先に引用したのは彼女が結婚する前年、2019年のインタビュー記事での発言だが、同じ記事では、若いときは《役者としてはすごく充実していたけど、私自身はすごく置いてけぼりだなって焦った時期が》あったものの、《でも、今はちゃんと1人の人間としての戸田恵梨香と、役者としての戸田恵梨香が同じレールの上に乗って進めている気がします》とも語っている。
個人としての自分と役者である自分との切り替えに関しては、夫の松坂も同年のインタビューで、仕事中心の日々を送りながらも、役柄を引きずることはほとんどなく、現場をあとにしたとたんに気持ちを切り替えられると述べている(※1)。案外、両者はそういうところに互いに共通するものを感じ、引かれ合ったのかもしれない。
仕事をこなしつつも、個人としてもきちんとした生活を送るため、その拠点として家庭を持とうと考えるのは、ごく自然だろう。ましてやこの1年あまり、コロナ禍のなかでドラマも映画も撮影が一時休止され、舞台の公演の中止もあいついだ。今後仕事が続けられるかどうかという不安から、改めて生活や人生と向き合った俳優は少なくないはずだ。俳優たちの結婚ラッシュの背景には、そうした事情もあるのだろう。
実際、瀬戸康史と山本美月は連名による結婚発表のなかで、《現在、このような状況で自分と向き合う時間が増え、その中でお互いに失いたくない、大切な存在なのだと確信しました》とつづっていた(※4)。