古典落語の定番ネタ「壺算」が「薄型テレビ算」になり、「居酒屋」は多国籍言語が飛び交うカオスとなり、廓噺の「紺屋高尾」は「ジーンズ屋ようこたん」に化けてしまう。かの立川談志を家元とする落語立川流の四天王の一人、立川談笑さんの大胆な古典改作に度肝を抜かれた人は少なくないだろう。

 「私が立川談志の弟子となったのは1993年、早稲田大学法学部を卒業して司法試験合格を目指す道半ばでのことだったのですが、当時は落語が世間一般で人気を集めているわけでもなく、お年寄りが好む穏やかな古典芸能ぐらいの認知だったんですよ。でもそれは大きな誤解で、落語って本来ものすごく刺激的なものなんですよ。その誤解が非常に悔しくて、だったら自分は爆発的に面白い刺激的なネタを作ってやろうと。今だったらもう炎上するようなネタばかりですよね(笑)」

二つ目は落語50席と歌舞音曲、真打は落語100席と歌舞音曲という立川流の厳しい昇進基準のもと、異例のスピード昇進を果たしたことで知られる立川談笑さん。
二つ目は落語50席と歌舞音曲、真打は落語100席と歌舞音曲という立川流の厳しい昇進基準のもと、異例のスピード昇進を果たしたことで知られる立川談笑さん。

立川流家元・立川談志に禁じられた改作落語とは?

 そもそも落語とは、エンタテインメントとしての面白さに加え、ジャーナリズム的な要素や風刺を含んでいるものだと談笑さん。「あれは間違ってるよな」「こいつは応援したいよね」という世間の内なる声を笑いに乗せて代弁することで、その時代に生きている人々の憂さ晴らしや癒しとなるものなのだと言う。

 「立川流に入門したのも、談志の中にその部分をとても強く感じたからだと思います。落語は昔の人を楽しませるための娯楽ではなくて、今を生きている、今の目の前の人たちを楽しませるものなんだ、と。もちろん伝統芸能として守るべき部分はあるにせよ、過去のマスターピースを大切にしすぎて新しい工夫を排除してしまったら、落語という文化は衰退してしまう。今でこそ多くの落語家が改作や創作落語を当たり前のように高座にかけていますが、当時は古典落語にアレンジを加えるのは立川流の専売特許みたいな感じでしたね」

 談笑さんの落語を評し「流石(さすが)落語立川流の弟子であり、立川談笑というパーソナリティである」と言葉を送った家元談志が、唯一「あれは高座にかけるな」と上演を禁じたネタがある。それが、「シャブ浜」。飲んだくれの亭主と情の深い女房が織りなす人情噺にして家元の代表作である「芝浜」を、なんと薬物中毒のトレーラー運転手と元ヤンキーの夫婦の物語に変えてしまったのだ。

 「理由は言わず、とにかくやっちゃ駄目だ、と。私は決して談志に口答えはしませんでしたので、『わかりました、ありがとうございます』と言ってそれきり高座にはかけなかったんですけど、そのうちだんだん談志の考えが変わってきまして。遠回しに『なんだな、やっちゃいけないって言われたってやりたくなったらやっちゃうもんなんだよな』とか、『やりてえと思ったら隠れたってやるよな』なんて言ってくるんです(笑)。そのたび気がつかないふりをしていたんですけど、最後の最後、面と向かって思いっきり言いましたよ。『シャブでも何でもやりゃいいじゃないか』って。知らない人が聞いたらびっくりしますよ(笑)。そういう可愛いところが、談志にはありましたね」

「しっかりとした飲み心地とフルーティさ、そしてさわやかな香り。まさに特別な一本で、贈り物にぴったりですね」。
「しっかりとした飲み心地とフルーティさ、そしてさわやかな香り。まさに特別な一本で、贈り物にぴったりですね」。

伝統ある蔵で醸す特別な一本を堪能

 そんな談笑さんのもとにうれしい贈り物が届いた。薩州濵田屋伝兵衛蔵の「薩州 赤兎馬 極味の雫」だ。「薩州 赤兎馬」は、鹿児島産のサツマイモを使用し、熟成とろ過を丁寧に行い、淡麗にして芳醇、シャープながらフルーティという、これまでにはない新しい個性を生み出した本格芋焼酎。「極味の雫」は、その「薩州 赤兎馬」の原酒をじっくりと熟成させ、アルコール度数が35度という濃厚な味わいながら、フルーティでマイルドな飲み口を実現させた特別な一本だ。

 「35度というとウイスキーに近いくらいのアルコール度数ですよね。そのためか、口に含んだ瞬間、ウイスキーのようなしっかりとした飲み心地とフルーティさに驚きました。と同時にすごくさわやかな香りが広がって、これはなんと表現したらいいだろうと考えたんですけれど、思いついたのが、朝早く森の中を歩いている時の、あの清々しい香りです。そう、森林浴。それぐらいのさわやかさを感じました」

 実は談笑さん、人気料理番組で自慢のレシピを披露するほどの料理名人。今回ももちろん「薩州 赤兎馬 極味の雫」にはどんな料理が合うか、いろいろと試したそう。

 「用意したのは板わさ、サーモンのカルパッチョ、それから私のオリジナルレシピのガパオライス。どれも相性ぴったりでとてもおいしくいただけました。濃厚ながら淡麗でマイルドなので、料理の味わいの邪魔をせず、和洋中問わずに合わせられますね。ロックでじっくり飲むのはもちろん、ソーダで割ってもおいしくいただけました」

 「薩州 赤兎馬 極味の雫」は、濵田酒造の数ある蔵の中でも最も伝統ある蔵で醸されているという。培われてきた歴史や伝統をしっかり守りながら、研究を重ねて革新的な発想や技術を生み出し、常に新しい焼酎づくりに挑み続ける。そうした姿勢があるからこそ、時代が求める味わいを作り出すことができるのだ。

 「歴史があるからといって昔ながらのものだけを作り続けていたら、世間とのギャップが生まれてしまいますよね。伝統を受け継ぎながら、常に革新に挑み、新しい作品づくりに取り組むというのは、落語に対する私のスタンスと同じです」

本格芋焼酎
薩州 赤兎馬 極味の雫
本格芋焼酎
薩州 赤兎馬 極味の雫

自分が信じるものを貫くプライドこそ、本格の証

 今年は立川流設立40周年、談笑さんの芸歴30周年、そして家元談志の十三回忌という節目の年。談笑さんは、師の遺志を受け継ぎながら立川流を支える一方、歴史小説を原作とする創作落語の上演や、17年ぶりの著書となる『令和版 現代落語論 〜私を落語に連れてって〜』の刊行など、さらなる前進を続けている。

 「20代30代の頃に作ったネタは基本的に今はやりませんね。私は常に同世代に向けた落語をやりたいと思っているんです。50代半ばを過ぎた今は、そろそろ孫の顔を見る頃かな、そんなに頑張らなくてもいいな、くらいの同世代の人たちに向けて語りたい。特に背伸びもせず、無理して若い世代に合わせることもせず、同じ世代で楽しくやっていこうよ、という気持ちでいます」

「伝統を大切にしながらも、時代に合わせて革新を続ける。『薩州 赤兎馬』の姿勢に落語家として共感します」。
「伝統を大切にしながらも、時代に合わせて革新を続ける。『薩州 赤兎馬』の姿勢に落語家として共感します」。

 最後に、談笑さんが思う「本格」とは何かとたずねたところ、迷うことなく「プライド」との答えが返ってきた。

 「周りの評価を気にするのではなくて、自分を信じ、自分が信じるものを貫くというプライド。それを持つ人こそ、本格だと思います。談志はまさにそうでした。『やかん』なんて馬鹿馬鹿しいネタでも、とにかく本気で一生懸命馬鹿をやるんです。そこに談志の落語家としての揺らがぬプライドがあった。焼酎づくりにしても、作っている人たちが自分を信じてしっかりやっていればそれでいい。もちろんそれは、自分の中に主体となるものをしっかり持っていてこそ。その主体を信じ、大切に守っていくというプライドを、私は本格だと感じます」

赤兎馬についてはこちら

【プロフィール】
たてかわ・だんしょう●1965年、東京都生まれ。早稲田大学法学部卒。予備校講師などを経て、93年立川談志に入門。96年、異例のスピードで二つ目昇進。2003年に6代目立川談笑を襲名し、05年に真打昇進。15年、彩の国落語大賞受賞。テレビやラジオなどメディアでも活躍。

提供:濵田酒造株式会社 焼酎蔵 薩州濵田屋伝兵衛
https://www.sekitoba.co.jp/

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