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「セコハン娘」は、進駐軍の「払い下げ品」への皮肉を込めたコミカルなブルース。市川崑の『果てしなき情熱』(49年・新東宝)では、歌詞に合わせて笠置の表情がクルクル変わる。その表現力!

コミック・ソングの傑作「買い物ブギー」

 服部が上方落語「無い物買い」にヒントを得て、村雨まさをのペンネームで作詞した「買い物ブギー」は様々な歌手がカヴァーしているコミック・ソングの傑作。『ぺ子ちやんとデン助』(50年・松竹)では、レコードよりも長い、もう一つのオチのあるヴァージョンが登場する。市場のセットでパワフルに大阪弁でシャウトする「買い物ブギー」だけでもこの映画の存在価値がある。

『ブギウギ』では羽鳥善一(草彅剛)とのコンビでヒット曲を連発(NHK公式サイトより)

 50年、笠置と服部は4カ月に及ぶアメリカ公演に出かけた。そこで出会った新しいジャズ「ビ・バップ」をいち早く取り入れ、帰国後「オールマン・リバップ」を発表。『ザクザク娘』(51年・松竹)でそれが味わえる。笠置のスキャットは、ビ・バップの即興演奏を全身で体現、しかも映画版はレコードよりも1分近く長いのだ。

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(NHK公式サイトより)

 笠置シヅ子の全盛時のパフォーマンスは25本の映画の歌唱シーンとして記録されている。願わくば『ブギウギ』ブームを機に、配信・ソフト化されんことを!