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「住みたい街ランキング」をどう活用するべきか

―― 知れば知るほど深読みできる「住みたい街ランキング」ですが、そもそもこのランキングはどう活用するのが正解ですか?

池本 「住みたい街ランキングとは何ですか?」という質問をよくいただきます。そのたびに私は、「その街に魅力があり、魅力が発信されているというランキングです」とお答えしています。

 結局、街の魅力がいくらあっても、その魅力が発信されていなければアンケートで「住みたい!」という票が入らないんですよ。住民票だけでは足りないから、ほかのエリアの人からも票をもらわないと勝てないじゃないですか。だから、発信力が重要なんです。

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2018年版の年代別「住みたい街」総合ランキング SUUMO調べ

―― PR上手の街が上位にランクインすると。

池本 そうなんです。「住みたい街ランキング」は、街の魅力をちゃんと発信して届けられているかというPRの通信簿的なものでもあると思います。

 働き方改革で「早く帰れる」「会社に来る必要がない」ということになれば、都心に住む必然性が薄れてくる。都心の価格高騰が続けば、郊外に人が戻る可能性も出てきます。ただすべての郊外へ自然に人が戻るとは思いません。例えば、埼玉の春日部や狭山、神奈川の大和や座間のような遠めの郊外都市にどんどん戻るかというと、僕はそうは思わないんです。街のカラーがはっきりしているところに人は移り住んでいくんだと思うんですよね。

葉山の一色海岸 ©iStock.com 

 藤沢や逗子、葉山にはカラーがある。結局、そういう街に住みかえが起こるんじゃないかと予測しています。交通の要所で、商業集積に優れたターミナルを持つ「郊外の中核都市」は勝ち残ると思いますし、街の個性がはっきりしていて、さらに「その街のサークルに入りたい」と憧れを持たれるような街であれば、住んでみたいと思いますよね。今後郊外の街は、どうやって自分の街の色を出していくか、そして商業利便性を高めていくか。これを自治体のトップが考えることが重要だと思います。