政治学者の御厨貴氏と作家・批評家の東浩紀氏が出演したオンライン番組「戦争とテロの時代、日本はどこへ向かうべきか」が、8月16日に「文藝春秋 電子版」で公開された。

 2人の対談は8月15日の終戦記念日に行われ、100分を超える議論が展開された。

 対談前日には岸田文雄首相が自民党総裁選(9月12日告示、27日投開票)への不出馬を表明しており、“ポスト岸田”を巡って政治が動くなか、日本の行方について論じている。

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2人の対談は軽井沢で行われた ©文藝春秋

岸田首相は「最後まで首相になれなかった」

 御厨氏は、岸田首相が総裁選不出馬を表明した会見について、次のように批判した。

「今後について『新たなリーダーを一兵卒として支えていく』『真のドリームチームを作ってもらい』と発言していて、これからも口出しをすると言っているようなもの。退き際にそんなことを言う首相は珍しい」

 さらに、「麻生さんたちと同じように“長老”として生き抜いていく宣言ではないか」と指摘。岸田政権の独自の政策も完遂には至らなかったとして、「最後まで首相になれなかった」と評した。

御厨貴氏 ©文藝春秋

 一方、東氏は、立憲民主党など野党の存在感のなさに触れて、「『左派連合』では組織票を持つ日本共産党がグリップすることになる」と指摘。「(リベラル勢力は)2015年の野党共闘の頃を理想とする“追憶”の党になってしまっているのではないか」と、日本政治の停滞に横たわっている原因を指摘した。

東浩紀氏 ©文藝春秋

 議論は、7月行われた都知事選にもおよび、再選された小池百合子都知事に次ぐ得票数だった石丸伸二氏による“石丸現象”についても意見が交わされた。さらに、ネット発の政治運動の特徴、“石丸現象”と“加藤の乱”の違いなども論じられている。

文藝春秋 電子版」では、全編101分におよぶオンライン番組「戦争とテロの時代、日本はどこへ向かうべきか」のフル動画を配信している。