サプライズを仕掛けたつもりでも、周囲を困惑させるだけの人がいる。思い起こせば岸田首相もそんなおじさんでした。
次の自民党総裁選に出馬しないと表明した8月14日の記者会見。なぜこの日だったのだろう。日本にとって大切な「8月15日」の紙面が政局記事で埋まってしまうという想像力はなかったのだろうか?
お盆明けから次の総裁を狙う人たちが手を挙げるから、追い込まれた印象の前に先手を打ちたかったのかもしれない。でもそれなら南海トラフ地震臨時情報の期間が明け、戦没者追悼式を終えた、たとえば16日(金)の表明ではダメだっただろうか。そんなに驚かせたかったのだろうか(その割にはあまり驚かれてもいない)。
岸田首相の「唐突」は、最近では岸田派の解散だ。政治倫理審査会への出席も突然に言い出したこともあった。リーダーシップを発揮して局面を打開したならともかく、混迷をさらにかき回しただけだった。
産経の社説は「岸田首相には評価できる点もある」と総括
「唐突」「ちぐはぐ」は岸田政権の特徴だ。ためしに検索してほしい。岸田政権に関するニュースがぞろぞろ出てくるはずだから。
では約3年間の岸田政権の功罪の「功」は何だったのだろう。新聞各紙(8月15日)を見てみよう。
首相自身は14日の記者会見で、賃上げや投資の促進、エネルギー政策の転換、少子化対策、防衛力強化などを挙げ、「大きな成果を上げることができたと自負している」と強調した(毎日新聞)。
産経新聞の社説は「岸田首相には評価できる点もある」とし、
・厳しい安全保障環境の中で、反撃能力保有や防衛費増額など防衛力の抜本的強化を決断した。安倍晋三元首相以来の安保政策の流れをさらに大きく前進させた業績を、岸田首相は誇ってよい。
・安定電源である原発の再稼働推進や、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出も評価できる。賃上げの促進など、日本経済のデフレからの完全脱却に向けて尽力した。
などを挙げていた。