岸田政権、ひいては自民党の支持率が低迷する中、党内の若手はどのように政権や自民党の未来を考えているのか。自民党の中でも「若手のホープ」と目される小林鷹之衆院議員に、評論家の宮崎哲弥氏と政治ジャーナリストの青山和弘氏が迫った。

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「岸田政権はやるべきことはやってきている」

 青山 小林さんが初当選したのは2012年。これまでの政治家人生で、自民党がこんなに低迷したのは初めてではないですか。現状を率直にどう受け止めていますか。

 小林 岸田政権は相応に、やるべきことは一つひとつやってきていると思っています。防衛力の抜本強化に踏み切った国家安全保障戦略の改定にはじまり、原発の再稼働発言や、最近では4月訪米時の議会演説は現地でも非常に評価が高かった。国際社会でのリーダーシップは発揮しています。ただ、支持率が非常に低下しているのは、地元で駅頭に立った時の肌感覚と同じです。「厳しい声」を通り越して、政治に対する無関心や、冷ややかな視線すら感じるようになりました。

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小林鷹之氏 ©時事通信社

 宮崎 こういう形で政治不信が高まっていくのは危険な兆候です。なぜここまで支持率が低迷してしまったのか、分析されていますか?

 小林 やはり政治資金の問題と、その対応が大きな要因だと思います。ただ、それに加えて最近、岸田文雄総理の政策決定のあり方がトップダウンに感じることがある。それも一つのリーダーシップの在り方だと思いますが、「党内調整が足りていない」と報道されることで、国民の皆さんが批判的に見ているのかもしれないと思います。

 青山 報道のせいではなくて、実際に党内調整は足りていませんよ。たとえば5月31日の政治資金を巡る公明・維新の党首との合意にしても、自民党議員の多くは知らされておらず、麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長も反対したまま決断された。派閥の解消にしても、もう少し党内で相談して話をつけてから実行するのが当然じゃないですか。

 小林 総理の視点では、別の景色が見えているのかもしれません。政策でも政局でも、一つひとつはよく決断されたなと思うんですが、その決定によってどんな国家運営を目指すのかまでは、国民に伝わり切っていないのが問題ですね。

 宮崎 私も総理自身に支持率がこれほど落ち込むほどの失政はなかった、と思います。問題は党の側でね。けれど「なぜこの政策が採られるのか」、政策決定過程についての説明が不十分。宏池会系の出身だから調整型とも目されていたけど、フタを開けてみると説明も調整もしない。

 小林 議院内閣制ですから、政府と自民党が何度もキャッチボールをしながら政策を作っていくのがあるべき姿。仮に今のやり方がそれと乖離しているのなら、調整していく必要があると思います。