若手が大人しいのはなぜ?
青山 小林さんは、派閥の役割もあったと考えているわけですね。
小林 行き過ぎた悪弊はなくしたほうがいいですが、派閥に代わるガバナンスを議論することなく、解消ありきになってしまったことで、大きな課題が残ってしまいました。
宮崎 それなのに、派閥に代わる新たな権力の分散と健全な内部統制の仕組みを作ろうという若手の動きもない。若い世代の声がシュリンクしてしまっているかにみえるのは、まさしく「派閥の締め付け」の悪弊だと思います。私は小林さんのような40代の議員のこれからの動きに期待しているんです。
小林 確かに最近、自民党の中堅、若手が若干大人しいんじゃないかと言われることは増えました。
青山 いや、若干どころじゃないですよ。「若手は何やってるんだ」という怒りの声すら聞こえてきます。
小林 今は危機的な状況ですから、一人ひとりが、政権与党という巨大組織をどうしていくか真剣に考えています。だからこそ、言動が慎重になる面もある。私は党内の会議で自分の思うことは全てぶつけてきたつもりですが、やたらめったら外で声を上げればいいというものでもない。ただ、有権者からの信頼がなければ、政策を前に進める力が弱ってしまう。国際情勢が刻一刻と変化している中で、政治資金問題一色でいいのか、ジレンマもあります。
青山 最近、若手議員は地元で「自民党を飛び出せ」と言われるそうです。そういう考えはないですか?
小林 全く考えないですね。私が政界入りを決意したのは2009年に自民党が下野した直後です。自民党の立党宣言や野党時代に作った綱領が私の政治理念と合致していて、どん底だった自民党を立て直す一つの歯車になりたいという思いで飛び込みました。苦しい状況だからと言って、飛び出す気にはなりません。
青山 今後の理想的な自民党像についてはどう考えていますか?
小林 自民党の特徴は侃々諤々(かんかんがくがく)と議論を尽くし、決定したらみんなが従うことです。これは今後も続けなくてはいけません。もうひとつは健全な競争です。これまで、様々な議員が切磋琢磨して、次のリーダーを生み出してきました。私は自民党以外が国家運営をしたら、日本は倒れると思っている。常に政権与党を担い、自民党総裁は総理大臣を兼ね、海外のトップリーダーと対峙しなくてはならない。そういう人材を育てるため、修羅場をくぐらせる環境を作ることが課題だと思っています。
(本稿は2024年6月18日に「文藝春秋 電子版」で配信されたオンライン番組を再構成したものです)
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本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(「小林鷹之×宮崎哲弥×青山和弘「総裁選に出ますか?」」)。
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