東京の西部を代表する都市の一つ、町田市にある中原眼科。町田駅から徒歩2分というアクセスの良さ、何よりも中原将光医師の確かな技術と人柄に惹かれ、全国から患者が集まる。「裸眼でいかに質の高い見え方を実現するか」、そして「患者ファースト」の医療の提供に取り組む中原医師に話を聞いた。

院長 中原 将光
なかはら・まさみつ/1978年東京都生まれ。2003年浜松医科大学卒業。東京医科歯科大学病院眼科、横浜市立大学附属市民総合医療センターなどを経て、フリーランスの眼科医として手術を中心に活動。2021年4月に中原眼科を開院。日本眼科学会認定眼科専門医。著書に『最高の白内障手術』(幻冬社舎メディアコンサルティング刊)がある。

質の高い見え方を望む人には多焦点眼内レンズを推奨

 3万例を超える手術実績を持つ中原将光医師は、「眼は人間の臓器の中で最も精緻で、その手術は最も難しい。だからこそやりがいがあるのです」と語る。中原眼科を開院したのは2021年。同院で行われる手術はすべて自身が執刀し、2022年5月から2023年4月は3663例を実施した。

「最高の技術で患者さんを治療するという絶対的な自信がない限り、メスを持つべきではない。手術室は聖域です」と言う中原医師は、高い志を持って手術に向き合ってきた。そこから得た知見を学会で発表し、手術見学を希望する医師を受け入れ、インターネットで情報を公開するなど技術の普及にも積極的に取り組む。

 同院では全手術の約66%(2409例)が白内障手術だ(2022年5月~2023年4月)。白内障の主な原因は加齢であるため患者は高齢者が多いが、同院は50代、60代の比較的若い年齢層が目立つ。理由は、多焦点眼内レンズを用いた先進的な手術を受けるためだ。

「白内障手術の眼内レンズは焦点が1か所の単焦点と、複数の多焦点があります。単焦点は保険診療、多焦点は基本的に自費診療ですが、年齢が若いと術後の長い人生を考慮し、より良い視力を確保できる多焦点を選ぶ方が大半です」(中原医師、以下同)

 多焦点眼内レンズは、遠近に焦点が合う2焦点、中間も見える3焦点、遠方と中間の間の遠中、中間と近方の間の中近にも焦点が合う5焦点など、自分のライフスタイルに合わせて選ぶことができる。

多焦点眼内レンズはレアなものまで約20種類用意している

左:インテンシティー Intensity
世界初の五焦点眼内レンズで、三焦点眼内レンズではカバーできなかった焦点にも強く、遠方から近方までメガネなしの生活を実現するが、難点は効果を発揮するには医師の豊富な使用経験と精度の高い技術が必要である点と自費診療で高額であること。

右:テクニス オデッセイ Tecnis Odyssey
従来の二焦点+焦点深度拡張型に比べ、夜間のハロー・グレア現象がかなり軽減できている。また、遠方視力が良好で、レンズ選定療養対応のものの中では近方(手元)も良く見える。度数ずれも起こしにくい。

夜間の見え方を重視するなら「焦点深度拡張型レンズ」

 眼内レンズは進化が著しく、多焦点眼内レンズの弱点であるハロー・グレア現象を抑えられる「焦点深度拡張型レンズ」も普及しつつある。

「夜間に光がにじんで見えるハロー・グレア現象があまり気にならない方であれば、5焦点レンズが自然な見え方を実現できますが、夜間の見え方が気になる方には、『焦点深度拡張型レンズ』が向いています」

 焦点深度拡張型レンズは、一か所に入っている焦点が拡張して幅ができるレンズです。遠方に焦点を合わせた場合、中間距離まではよく見える一方、手元が若干見えにくく眼鏡が必要になるが、単焦点より広い範囲が快適に見え、夜間の見え方も問題ない。

 その人が望む見え方を実現するためには、眼内レンズの選び方が最も重要だと言う中原医師。全患者に「白内障手術オーダーシート」を配布し、焦点を合わせたい距離とその優先順位、切開方法や大きさ、麻酔方法などを記入してもらっている。

「裸眼で見たいものが、運転中の風景なのか、テレビやパソコンなのか――見る対象により必要な視力は異なります。オーダーシートの選択肢には、30センチ、50センチ、75センチ、1メートル、2メートル、5メートル、完全遠方などがありますが、お化粧をするために20センチを見たいというご婦人もいました。希望を丁寧に聞き取り、一人ひとりに最適な眼内レンズを提案しています」

 同院は20種類以上の眼内レンズを揃え、望む見え方の実現に力を注ぐ。

 多焦点眼内レンズの一部は、レンズ代のみ自己負担で手術費用などは保険診療で行える「選定療養」という制度の対象となっており、同院でも対象レンズを複数用意している。ただし、5焦点眼内レンズはまだ「選定療養」の対象になっていない。

「白内障手術は、近視、遠視、老視、そして乱視も一度に治せる最後のチャンスです。費用はかかりますが、多焦点眼内レンズは有効な自己投資だと言えるでしょう」

 多焦点眼内レンズの機能を最大限に発揮させる精度の高い手術を行うために、同院では、レンズのサイズに合わせ正確に切開できるレーザー白内障手術機器に加え、「ダイヤモンドメス」も使用している。

「正確かつ切口のきれいな切開は、術後の視力に影響を及ぼします。ダイヤモンドメスはレーザーよりもシャープに切れるため、例えば角膜はダイヤモンドメス、前囊はレーザーというように、使い分ける『ハイブリッド』手術を行っています」

 目指しているのは、高性能の手術機器・器具と自身の確かな技術を組み合わせたクオリティの高い手術だ。

手術室/レーザー白内障手術機器LensXを導入。デジタルヘッズアップサージェリー内蔵型の顕微鏡「ARTEVO800」や低眼圧で手術が行える「センチュリオン アクティブセントリー」、硝子体手術で活躍する「コンステレーション®ビジョンシステム」など先進機器を備えた手術室。
手術室/レーザー白内障手術機器LensXを導入。デジタルヘッズアップサージェリー内蔵型の顕微鏡「ARTEVO800」や低眼圧で手術が行える「センチュリオン アクティブセントリー」、硝子体手術で活躍する「コンステレーション®ビジョンシステム」など先進機器を備えた手術室。

レンズの入れ替えが可能な「やり直し外来」を設置

 白内障手術の眼内レンズは、一度挿入すると取り出すことが難しいが、どうしても合わない場合もある。数百例中一例程度と極めてまれではあるものの、合わなければ生活の質が低下する。そのような患者のために「やり直し外来」を設置していることは、同院の大きな特長の一つだ。

「ほかの眼科で『時間が経てば慣れる』と言われた患者さんが、困り果てて当院を受診することも少なくありません。私は、眼内レンズが合わないというときにきちんと対応できる技術を持っておくことが、多焦点内レンズを扱う眼科医の必須条件だと思っています。眼内レンズが合うかどうかは、角膜の状態などにより実際に入れてみないとわからない部分があり、患者さんのライフスタイルが変化することもあります。一人も取り残さないという強い気持ちで、様々な技術を身に付けるために日々研鑽を積んでいます」

 眼内レンズは時間が経つほど癒着して取り出しにくくなるが、中原医師は10年以上経過した患者のレンズを入れ直した経験もあるという。

著書紹介
中原 将光(著)
幻冬舎 メディアコンサルティング 刊
『スゴ腕サージャンが解説! 最高の白内障手術』
大事なのはQOV(Quality of Vision)=見え方の質。眼科手術のプロが語る最先端の技術と理念。

手術の不安を取り除く「患者ファースト」の心遣い

 中原医師の信条は「患者ファースト」だ。患者が不安を感じないようにする配慮は手術中も怠らない。

「音を立てない手術を心がけています。術中の患者さんはとても音に敏感で、器具が触れ合う音を聞くだけで緊張したり、医師や看護師の何気ない発言から何かあったのではと不安になることもあるからです。私の手術は片目で3~4分と短時間ですが、静かにスピーディに行うと、患者さんは緊張する間もなく、『もう終わったの?』と言われることもよくあります。手術時間が短いと感染リスクも低くなります」

 麻酔にも気を配る。白内障手術は点眼麻酔だが、笑気ガスを併用することも。また、術中の強い光は視力障害(網膜光障害)のリスクを高めるため、光量を通常の25%程度に抑えた高感度の顕微鏡を導入している。

 同院は白内障や硝子体手術のほかに、緑内障、黄斑変性、角膜移植などを幅広く診療し、網膜剝離などの緊急手術も多く受け入れている。

「網膜剝離は数時間単位で悪化することもあるため、できるだけ早く対応するようにしています。患者さんの不安な気持ちを一秒でも早く解消して差し上げたいですから」

 確かな技術と、真心をもって寄り添う姿勢が患者の信頼を引き寄せる。

INFORMATION

中原眼科
Nakahara Eye Clinic
〒194-0013 東京都町田市原町田6丁目19-14
TEL 042-851-7171 
https://www.nakaharaganka.com

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