スペシャリスト中心のチーム医療、心臓カテーテル治療の海外ライブ配信も――千葉県東葛北部の地域医療の拠点

　おおたかの森病院は2005年の開院以来、救急患者に24時間365日対応している。4つの手術室（うち1室は心臓血管外科専用）、2つの血管造影室、3室を備える内視鏡センターが稼働し、緊急の手術、カテーテル検査・治療、内視鏡検査・治療を数多く実施。血管造影室ではAI画像処理機能を搭載した血管造影システムを導入し、循環器、脳、消化器などの幅広い治療に活用。また、心臓カテーテル治療の模様を国内外にライブ配信して人材育成などにも取り組む。

　柏市は地域医療ネットワークの充実で知られるが、近隣5市による「GIBネットワーク（消化管出血の治療ネットワーク）」、柏市の「ハートネット（心筋梗塞などの治療ネットワーク）」でも同院は重要な役割を果たしている。

「最近はドクターヘリや当院所有のドクターカーで、隣接県からも緊急の治療を要する患者さんを受け入れています」と松倉聡院長は説明する。急性期病院としての信頼度は増すばかりだ。

　一方で、在宅医療の支援にも力を入れる。柏市では、「住み慣れた場所で自分らしく老いることができるまちづくり」をコンセプトに、多職種連携のシステムやルール＝柏モデルを構築。同院は、急性期治療後の患者がシームレスに地域医療・サービスにつながるために欠かせない地域包括ケア病棟を整備する他、在宅療養後方支援病院としても機能し、在宅療養の患者、家族、かかりつけ医などを支えている。

「在宅療養後方支援病院として約30のかかりつけ医と契約書を交わしています。当院は開院時からチーム医療を積極的に取り入れ、質の高い急性期医療と救急医療、そして地域連携を実現してきました。地域の強力なネットワークは、災害時に迅速な医療を提供する上でも重要です。これからも専門性の高い急性期医療を軸に、QOLも重視した医療を提供していきたいと思っています」

　そう語る松倉院長は、先進的な低侵襲治療の単孔式腹腔鏡下手術で豊富な実績を持つ。

　よりよい医療のため、2023年にCTを2台体制とし、2024年1月にはMRIを更新したおおたかの森病院。たゆみない努力で地域に貢献し続ける。

外科
SILSなど高度な術式を用い“諦めない外科”を追求する

　救急疾患、消化器疾患が主な対象疾患。救急疾患には消化管穿孔・出血、消化管壊死、炎症疾患があり、治療は24時間、365日で対応。消化器疾患では特に肝胆膵疾患を得意とし、食道、胃、小腸、大腸、肛門さらに甲状腺、乳腺疾患、鼠径ヘルニアなどの治療も行う。SILS（単孔式腹腔鏡下手術）を駆使し低侵襲で安全な治療、そして決して断らない・諦めない外科を目指している。

整形外科
スペシャリストを中心に良質な医療の提供を目指す

　運動器診療の専門家で、関節疾患、脊椎疾患、関節リウマチ、外傷、腫瘍などが対象疾患。整形外科の治療には非手術治療と手術治療があり、手術を行う場合は高度な手術治療を提供するために各分野のスペシャリストが中心となり診療を行う。的確な診断、十分な説明、リハビリテーションの早期開始、チーム医療の促進、感染防止を含むリスク管理などに努め、良質で安全な医療の提供を図っている。

心臓血管外科
患者本位の医療の提供目指しチーム医療に取り組む

　緊急手術が総手術件数の約半数で、大動脈疾患がほとんどを占める。医師が常にホットラインを携帯し、手術依頼に迅速に対応。緊急時には県内外を問わずドクターヘリでの搬入も受け入れる。循環器内科との連携も密で、SHD（構造的心疾患）認証医を含めた弁膜症チームも活動中。患者に寄り添った治療を行うために、診療科を超えたチーム医療に積極的に取り組んでいる。

循環器内科
海外ライブ配信も行うカテーテル治療をここで

　対象疾患は高血圧、虚血性心疾患（狭心症・心筋梗塞）、閉塞性動脈硬化症、不整脈、弁膜症、心不全、肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症など。特に虚血性心疾患や不整脈に対するカテーテル治療では難易度の高い治療に積極的に取り組んでいる。

　またカテーテル治療では国内外の学界に向けライブ中継を行っており、世界へと広がる治療技術の普及に貢献している。