アライブ世田谷下馬ホーム長
社会福祉士 介護福祉士
柴田 卓也 さん
株式会社アライブメディケア営業推進本部
広報室主任
本浪 恭子 さん
アライブ世田谷下馬 訪問看護ステーション
マネージャー
がん性疼痛看護認定看護師
上田 順子 さん
手厚い自立支援と医療的ケアで生きがいを担保
「認知症を熟知し、思いをカタチにし、日本の介護を牽引しつづける」を企業のビジョンに掲げ、主に東京都内の閑静な住宅街で介護付有料老人ホーム11棟を展開するアライブ。
中でも先進的な試みで旗艦施設とされるのが「アライブ世田谷下馬」だ。最寄り駅から徒歩7分。世田谷の緑豊かな景観に溶け込み、赤レンガ造りの端正な佇まいをみせてくれる。低層3階建62室とコンパクトながら、リビングや中庭、ウッドデッキなど共有スペースをゆったり配し、光と風がふんだんに入る設計。住み慣れたわが家のように寛ぎに満ちた空間だ。
ホーム長の柴田卓也氏は「アライブがミッションとして掲げているのは、ご本人とご家族の『真の望み』を叶えることです。さまざまな人生を歩んできたご入居者のファイナルステージを、時間の許す限り輝くものとしたい」と抱負を語る。
そのベースとなるツールの一つが、一人ひとりの「NOZOMIシート」だ。看護スタッフ、介護スタッフ、機能訓練指導員など多職種が入居者の体調管理に加え、日々のコミュニケーションで把握した「真の望み」=生活歴、やりたいこと、行きたい場所、会いたい人などの詳細が記されている。過去と未来をつなぐ希望の結晶だ。
望みを叶えるには、しっかりした健康管理が前提となる。アライブ世田谷下馬では支援の柱に4本を据えており、(1)は日常生活に張合いを与える創意工夫。(2)は心身を整える食事や運動の配慮。(3)がADL(日常生活動作)向上を目指す機能訓練指導員の参画。
「加えて特筆すべきは(4)医療的ケアの充実です」と営業推進本部広報室主任の本浪恭子氏。訪問診療医と密に連携をとり看護スタッフは24時間体制。認知症対応には外部の専門機関とタッグを組み、スタッフの教育も万全だ。
加えて2024年6月、アライブとして初めて世田谷下馬の施設内に『訪問看護ステーション』を開設。マネージャーで認定看護師の上田順子氏は「神経難病やがんの疼痛ケア等が医療保険の対象となり、終末期の看取りまで、手厚い医療を提供できるようになりました」と語る。
以下、具体例を紹介していく。
「やりたい!」をみつけ、あきらめずに実現する
ホームでは毎日好奇心を刺激するイベントが企画される。コンサート、合唱、麻雀、手芸、ヨガ、ドッグセラピーなど。どれもが暮らしのアクセントとなり、心身に活力を与えてくれる。入居者同士の交流も気分転換にうってつけだ。
「お孫さんの結婚式、観劇や食事会など、行きたい・やりたいは最大限支援します。予めお伝えいただければ送迎やスタッフの出張介助も承ります。施設内には訪問美容が受けられるスペースもありますよ。望みを決してあきらめさせません」(本浪)
諏訪湖や出雲などへの長距離旅行もシーズンごとに実施され、参加希望者は増加中。トラベルドクターが帯同し有事の際も安心な体制で、家族と共に参加可能だという。
心身を整える自立支援。多剤併用の改善も
ホームで「自立支援ケア」と位置付けられるアプローチは、水分・食事・排泄・運動・減薬・睡眠の6方向から身体を整える。高齢者は持病の治療薬に加え便秘薬、睡眠導入薬、向精神薬など、体調管理において服薬に頼りがちだが、多剤併用は副作用を伴う例があり、抜本的な解決にはならない。
「適切な栄養価の食事を美味しく食べ、適量の水分を摂り、極力自分の脚で歩く。昼間の活動量を増やす。生活リズムの改善で自律神経が整えば快便・快眠につながり、免疫力の向上も期待できます」(上田)
ホームの看護スタッフ・介護スタッフの積極介入に加え、提携先のセントラル薬局グループの薬剤部門と給食部門がバックアップ。訪問診療医の指導の下、減薬に成功したケースが確実に増え、アライブ全体の平均薬剤数は4剤台を継続している。
「本来備わっている自然治癒力が引き出されるのでしょう。精神面も安定し、特に認知症の方には良い影響がでています」(上田)
日々のメニューは専属のシェフが和洋中の献立を多彩に提供。ステーキなどの選択食や季節に合わせた特別食も供され満足度は高い。
理学療法士と言語聴覚士がADL向上をサポート
「ADLのうち最も切実なのが食べる力。咀嚼力と嚥下機能です。訪問歯科医師と歯科衛生士、言語聴覚士が適宜来訪。歯科治療や口腔ケアの指導、嚥下機能の判定、嚥下反射改善のための刺激療法などが行われます」(上田)
リハビリの結果、経管栄養を離脱できた人は少なくない。なじみのレストランに家族と行きたい、という望みの叶った人もいる。
一方、歩行や移動能力の維持には理学療法が欠かせない。2023年11月、施設内に5台のマシンを備えたリハビリルームが整備された。一人でもグループサーキットとしても手軽に活用できる。提携医療機関の成城リハビリテーション病院より理学療法士3名が派遣されており、希望があれば一人ひとりにあった運動メニューの提案・指導も可能である。
ご入居者に徹底的に寄り添う認知症介護
「ご入居者の平均年齢は90歳を超え、認知症罹患率は概ね5~6割。アライブは専門家の知見に学び、最善のメソッドを実践してきました」(本浪)
現在のパートナーは、順天堂大学医学部附属順天堂医院認知症疾患医療センター長の本井ゆみ子特任教授と、東京慈恵会医科大学の繁田雅弘元教授の理念を実践する“日本の介護株式会社”。
「ご入居者に認知症の疑いがあればご家族に専門医の受診をすすめ、スタッフは診断をもとに適切な対応に努めます。基本はお気持ちに寄り添うこと。不穏、妄想、徘徊など周辺症状は、ご本人にとって辛い思いの発露。決して否定せず、信頼関係を構築することが大事です。どんな時に症状が出やすいか予想し、混乱を未然に防ぐのがプロの介護です」(上田)
要望があれば順天堂大学医学部附属順天堂医院と連絡をとる。MRIなど最新の検査を受け、脳の障害がある部位と症状の関係、治療法などセカンドオピニオンとして活かすことができ、家族に好評だ。
「両パートナーともグループ全体のスタッフ研修会にも参画いただいています。先日は当ホームの介護スタッフが実践を踏まえた論文を仕上げ、認知症ケア学会で発表しました。認知症ケア専門士の有資格者も増えており、スキルの高さは業界トップクラスと自負しています」(柴田)
医療的ケアを網羅的に実施。難病の方も受け入れる
「基礎疾患があり、かつ介護度の高い方にこそ病院ではなく当ホームを選んでほしいと思います。たとえ車いすでも寝台でも、個室を一歩出れば、入居する多くの方々の笑顔と暮らしに出会えます。体調の良い日は自分も参加しよう。リハビリに励み元気を取り戻そう。満ち足りた気持で人生をまっとうしよう。必ず『真の望み』が描けるはずです」(柴田)
対応可能な医療的ケアは、インスリン投与、経管栄養、中心静脈栄養、たん吸引、在宅酸素、気管切開、ストーマ、人工透析など。心疾患や脳血管疾患の既往、パーキンソン病やALS、末期がんの人も入居可能。入居者の主治医とホームの訪問診療医が連携し、看護スタッフは夜間も常駐している。
「訪問看護ステーションの併設で、末期の神経難病やがんの患者さまに、ホスピス比肩する看護を提供できるようになりました。1回の訪問で最低30分はケアが可能。疼痛緩和などの医療行為と共に、メンタルケアに力を入れています。一緒に本を読んだり、家族のアルバムをめくったりするひと時は、スタッフにとっても宝物。精一杯寄り添います」(上田)
訪問看護ステーションは、地域住民との信頼関係構築の礎ともなる。近隣で在宅医療を利用するご家庭からの依頼も増えてきた。“顔見知りの看護師さん”のいるホームだから、と当施設が設ける「ショートステイ制度」の利用にもつながっている。
「訪問看護ステーションの開設に併せ、週に2回、公認心理師のカウンセリングもスタートしました。適応障害やうつ病などは早期発見・早期治療がカギ。精神科医療との連携を模索中です」(柴田)
ご本人、ご家族、スタッフをつなぐ「ウェルビーイング」
アライブは創業25年来“人”で選ばれるホームを目指してきた。東京都近郊で11ホームを展開するアライブの介護スタッフの6割超が介護福祉士の資格を持ち、約7割が実務経験5年以上。
「仕事に誇りを持ち、モティベーションを維持するにはスタッフ本人が“幸福”でなければなりません。武蔵野大学ウェルビーイング学部長・教授、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授で『幸福学』第一人者の前野隆司氏を顧問に招き、ウェルビーイングに関する全社研修を定期的に実施。前野教授が提唱している幸福の四つの因子『やってみよう・ありがとう・なんとかなる・ありのままに』のキーワードで、自分の気持ちと行動に向き合います。職場の風通しはぐんと良くなりました。悩みや迷い、不満は上司や同僚と共有。解決につなげます」(柴田)
自身の成長と幸福は、常に働く仲間の幸福、入居者の幸福と共にある。スタッフ一人ひとりの確信が、アライブの未来を拓く。
アライブ世田谷下馬 訪問看護ステーション
「片道30分の範囲へ、幸せをお届けする」
2024年6月、介護付有料老人ホーム・アライブ世田谷下馬に訪問看護ステーションが開設されました。アライブのケアの理念を持った看護スタッフが、ご本人やご家族が希望される場所に出向いてサービスを提供します。対象地域は、事業所を拠点におよそ片道30分の範囲。当ホームに入居中、またはショートステイを利用中の方に加え、近隣にお住まいの方のお役に立つことができます。
サービス内容は、健康状態の観察や病気の予防、栄養・食事ケア、排泄ケアなど日常生活の看護。医師の指導書に基づくチューブ類・医療機器の管理や服薬指導、点滴・注射、床ずれ等の処置など医療的処置。リハビリテーション全般。介護者の支援にも応じます。
近年は在宅医療の充実で、自宅での看取りを希望される方も増えてきました。がんを筆頭に心疾患や神経難病などで末期に向かうターミナルケアでは、疼痛や呼吸困難など苦痛症状の適切な緩和が欠かせません。
人生の終末と向き合い、受容するプロセスでは、精神的支援が必須です。所属する看護スタッフは技術に加え、人間力を高めるための教育プログラムを修めたプロフェッショナル。ご本人、ご家族の不安、悩み、要望など何でもお伝えください。しっかり寄り添います。
介護保険、医療保険のいずれかがご利用できますので、詳細は事業所にお問い合わせください。
INFORMATION
アライブ世田谷下馬
東京都世田谷区下馬6-29-22
【アクセス】東急東横線「学芸大学」駅より徒歩7 分(520m)
【ホーム概要】●類型/介護付有料老人ホーム●居住の権利形態/利用権方式●利用料の支払方式/選択方式●入居時の要件/要支援・要介護●介護保険/東京都指定特定施設入居者生活介護(一般型)●専用居室区分/ 定員1~2人(親族のみ対象)●一般型特定施設である有料老人ホームの介護にかかわる職員体制/1.5:1以上●運営主体/株式会社アライブメディケア
https://www.alive-carehome.co.jp/home/setagaya-shimouma
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