日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。
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セブン買収のキーマン
セブン&アイ・ホールディングス(HD、井阪隆一社長)が反撃に出た。カナダのアリマンタシォン・クシュタール(ACT)からの買収提案に対抗、11月13日、創業家の伊藤順朗副社長が代表を務める資産管理会社・伊藤興業が、9兆円規模とも言われるMBOを通じた買収提案をしたのだ。国内メガバンクや伊藤忠商事(石井敬太社長)から巨額の資金調達をする案が検討されている。
セブン&アイHDはどちらの提案に乗るのか、ACTや伊藤興業は巨額資金を集められるか、伊藤忠の子会社・ファミリーマート(細見研介社長)との関係は……今後の注目点は幾つもあるが、複数のセブン関係者が「あの人の動静は要注意だ」と指摘する人物がいる。セブン&アイHDの米子会社、セブン-イレブン・インク(SEI)の、ジョセフ・マイケル・デピントCEOだ。一体、なぜ彼なのか?
SEIがセブン&アイHDの完全子会社となったのは2005年。当時はグループの一事業に過ぎなかったが、デピント氏が買収に次ぐ買収を重ね、セブン&アイHD内での位置づけを上げていった。HDの24年2月期の売上高は約17兆8000億円で、営業利益は約5342億円だったが、前者の6割弱、後者の8割弱をSEIが占めている。
デピント氏のSEI入社は02年のこと。「当初は創業家との良好な関係づくりに腐心していた」と、昔を知るセブン関係者は振り返る。だが21年、全米3位のコンビニチェーンのスピードウェイ買収を主導して以降は「デピント氏は報酬だけでなく、存在感でも井阪氏を上回るようになった」(セブン幹部)。24年2月期は、井阪社長の報酬・3億4100万円を遥かに上回る77億3200万円を手にしている。
セブン&アイHDの海外事業は、ほぼデピント氏に委ねられているという。「内弁慶の井阪さんが、海外事業についてはデピント氏に丸投げしたからだ」(別の幹部)。それもあって、同じ「セブン-イレブン」を名乗りながらも、日本国内と海外ではオペレーションが全く異なる。《続きは「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます》
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本記事の全文は「文藝春秋」2025年1月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。記事全文(約3700字)では下記の内容をお読みいただけます。
セブン&アイ・ホールディングス(HD、井阪隆一社長)が反撃に出た。カナダのアリマンタシォン・クシュタール(ACT)からの買収提案に対抗……
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2025年1月号
2024年12月10日 発売
1550円(税込)