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「AKBと1991年7月」 前田、板野、柏木、松井玲奈……彼女たちが生まれたあのころ

2018/07/10
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 多人数のアイドルグループにはたいてい中核となる年代がある。乃木坂46では、センター常連の西野七瀬やキャプテンの桜井玲香ら1994年生まれがそれにあたるだろうか。欅坂46では、鈴本美愉、守屋茜、渡邉理佐、長濱ねるなど1997~98年生まれが人数からいってももっとも多い。

 AKB48グループでは、ある時期まで1991年生まれが中核世代にあたった。現役ではAKB48の柏木由紀(NGT48と兼任)と大家志津香、SKE48の高柳明音と須田亜香里の4人を数えるだけになったが、卒業生を見ると、2005年のAKB結成時から大半のシングルでセンターを務めた前田敦子、48グループの初代総監督を務めた高橋みなみのほか、板野友美(AKB48)、北原里英(AKB48からNGT48に移籍)、松井玲奈(SKE48)など、単に人数が多いというだけでなく、グループを牽引する役割を担ったメンバーが並ぶ。

高橋みなみ ©文藝春秋
前田敦子 ©文藝春秋

 ところで、ここにあげたメンバーには7月生まれが多く、きょう7月10日が誕生日の前田敦子のほか、板野友美(3日)、柏木由紀(15日)、松井玲奈(27日)がいずれも今月27歳となる。この記事では、彼女たちの生まれた1991年7月に、どんなことが日本で起こったのかを振り返ってみたい。

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彼女たちが生まれた「激動の1991年」

 AKB48グループは、2011年に東日本大震災が起こって以来、被災地訪問を中心に復興支援活動をいまも継続中である。

 平成の時代、日本列島は大きな自然災害に何度となく見舞われてきた。ちょうど前田敦子の生まれた1991年7月10日には、前月に大火砕流に襲われた長崎県雲仙・普賢岳の被災地を、明仁天皇と美智子皇后が訪問している。このとき、被災者たちに対し膝をつきながら、時間をかけて話に耳を傾け、言葉を交わす天皇・皇后の姿は、国民に鮮烈な印象を与えた。天皇・皇后はこれ以来、災害が起こるたびに被災地へ赴き、住民たちを見舞うことになる。

雲仙・普賢岳の山肌を猛スピードで落下する火砕流 ©共同通信社