沖縄尚学の初優勝で幕を閉じた今夏の甲子園。日本高野連の宝馨会長は、閉会式の大会講評で出場校の健闘を讃えたのち、こう切り出した。
「最後に、日本高等学校野球連盟会長としてお伝えしたいことがございます。今回、代表校が大会途中で出場辞退するという事態になり、各方面にご迷惑とご心配をおかけいたしました。日本高校野球連盟としては、今回の事態を大変深刻に受け止めております」
全国中継された高野連トップによる異例の“謝罪”。念頭にあるのは、暴力事案の発覚を機に、勝ち進んでいる状況にありながら甲子園を去った広島の広陵高校だ。不祥事による途中辞退は大会史上初。107回大会の不名誉なハイライトとして、甲子園の歴史に刻まれることになる。
全ての発火点は、甲子園開幕直前の7月下旬、元広陵球児Bくんの母親がInstagramに投稿した悲痛な告発だった。
高校野球名門校で、
集団暴行を受けました。
やっとの思いで転校できましたが、
学校側、監督、保護者からの
正式な謝罪など一切ありません
暴行に関わった選手たちも
何もなかったかのように、
春夏と試合に出ています。
21日には中井監督の離任を発表
投稿では校名などが伏せられていたものの、その詳細な内容は、瞬く間にSNS上で拡散。8月6日、広陵と高野連が投稿の前提となる暴力事案の存在を認めると、時を置かず、別の野球部員Cくんも部内の暴言・暴行被害を告発した。同時期、「週刊文春」は独自に、部内暴力で一時、右半身麻痺に陥った元広陵野球部のAさんに接触している。そして騒動が鎮火不能の “大炎上”を続ける同10日、広陵は甲子園から姿を消したのである。さらに同21日、野球部を35年にわたって指揮してきた監督の中井哲之氏(63)、同氏の長男で野球部長だった中井惇一氏(30)の離任が発表された。
甲子園が閉幕した今、Bくんの父親があらためて「週刊文春」の取材に応じた。
「これまでの経緯を妻がSNSで投稿することに、僕は当初反対していました。ただ、一連の広陵側の対応には不信感しかなく、何ごともなかったかのように、時間だけが過ぎていく。その状況に無念さが募っていきました。名門といわれる野球部で何が起きていたのか。それを知っていただきたい一心で、最終的にはやむを得ず、妻のあの投稿に至ったんです」
名門野球部はどこで対応を間違ったのか――。Bくんの父親が明かした舞台裏からは、被害者側の心情を軽視した広陵の不誠実さ、身勝手さが浮き彫りになってくる。
◇◇◇
本記事の全文は「週刊文春電子版」で公開中。Bくんの父親が明かした集団暴力の全貌や中井氏による姑息な“隠蔽強要”、野球部長が涙ながらに語ったという反省の弁、学校側の呆れた「二枚舌」など、“広陵大炎上”の全貌を報じている。

【第4弾】高野連会長も謝罪“広陵大炎上”の発火点「野球部長は泣きながら反省」「監督は息子に隠蔽を強要した」暴行被害者の父親が怒りの告白
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