日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号からダイジェストで紹介します。

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取締役は官邸官僚

 大物官僚が経営するファンドは、京都の名門企業を救えるか――。今年7月、投資会社ジャパン・アクティベーション・キャピタル(JAC)が、体温計などで知られるオムロンとパートナーシップ契約を締結。約300億円の出資を決めた。

オムロンの大株主となったJACの取締役には、安倍政権の首席秘書官だった今井尚哉氏(右後方)が名を連ねている ©時事通信社

 JACは、「物言う株主のように圧力をかけるのではなく、戦略立案に携わり持続的な成長を支援する。いわば経営者との伴走型ファンド」(メガバンク幹部)である。創業社長は、投資会社カーライル・ジャパンの副代表を務めた大塚博行氏だ。1992年、住友銀行に入行。M&A畑を中心に歩み、01年にカーライル・グループに移籍。23年にJACを創業した。

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 同社は国内の上場企業が専門で、ライオンやピジョンにも出資。「5〜10%ほどの株を持ち、3〜4年のスパンで企業価値の向上を図る」(同前)。

 鴻海精密工業の関潤最高戦略責任者ら大物経営者がアドバイザーを務める同社。取締役に名を連ねるのは安倍政権の首席秘書官で高市政権では内閣官房参与に就いた今井尚哉氏だ。

「今井氏は21年からカーライル・グループのシニア・アドバイザーを務めた」(市場関係者)

 近年、オムロンは業績悪化に苦しんできた。24年3月期の連結決算は売上高が前年度比6.5%減の約8180億円、純利益は同89%減の81億円で大幅な減収減益となった。昨年2月には2000人規模の人員削減を行い、約300億円の固定費圧縮を発表。翌25年3月期は、純利益が2倍の162億円で回復基調だが、「固定費圧縮や有価証券評価益に負うところが大きい。発射台(前年度実績)が低く、低空飛行に変わりはない」(同前)。

〈この続きでは、オムロンの業績悪化の原因についてメガバンク幹部が分析しています〉

※本記事の全文(約5000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年12月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。全文では下記の内容をお読みいただけます。

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出典元

文藝春秋

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