私は東京23区内の緑地で、フクロウのペリットという不消化物を楕円(だえん)形のかたまりにして吐き出したものを4つ分解してみたことがあるが、4つのうちの3つから、アズマモグラの体毛と骨が出てきた。フクロウは、小さめの爬虫類(はちゅうるい)や大きめの昆虫類もわりとよく食べるが、それらも都市の緑地に相当いる。

「天敵」の減少でフクロウが住みやすい環境に

 2つ目の理由は、「東京都心部にはフクロウが営巣できる木がわりと多くなった」ということだ。

 フクロウは多くの場合、大木の樹洞に営巣する。東京都心部には、もともとある庭園や寺社の境内などに大木が多いことに加え、公園などに植栽された樹木が時間が経ち大きく成長して、それらの中には樹洞のあるものも多くなってきたことで、フクロウがくらすには好都合な環境になってきたのだ。また、人間のかけたフクロウ用の巣箱を利用する個体もいる。

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写真はイメージ ©Paylessimages/イメージマート

 3つ目の理由は、「東京都心部のカラスが減った」ということだ。

 東京都心部のカラスはそれほど減っていないと異論を唱える人もいるが、2025年5月20日更新の東京都環境局のウェブサイトによると、都内約40カ所におけるカラスの合計生息数が、平成13(2001)年度に比べ約80パーセント減少し、東京都庁によせられたカラスに関する苦情・相談件数が、平成13年度に比べ約92パーセント減少したとある。

 フクロウの大きな天敵はハシブトガラスを中心としたカラスだ。日中、休んでいる場所をカラスに発見され、何10羽ものカラスの群れに追い回されるフクロウは、バードウォッチャーにはおなじみの光景だ。

 カラスは強さが同等、またはそれ以上の鳥を集団で追い払おうとする傾向がある。フクロウは日中でも活動できるのに、主に夜間活動する理由の1つは、カラスを避けるためと考えてよいだろう。

「そのカラスが東京都心部で激減した」というニュースは、フクロウにとってまさに「吉報」なのだ。

 そして4つ目の理由は、「フクロウが都会に文字通り適応してきた」ということだ。

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