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観たかった景色がそこにはあった

 ついこの間の高卒2年目投手、直江大輔なんかがいい例だ。

 そして今シーズン、腕を振りまくって自らの人生を切り開こうとしているのが、2回のマウンドに上がった、売り出し中のサイド左腕・大江竜聖。

 4年前の夏、打ち合わせ前にちょっくら寄った午前中の神宮で、二松學舍のエースとして、小さいけどいい球投げるピッチャーを観た。あの時の高校生が、巨人のピンチを救うと思うと40代にはグッとくる。男子3日会わざれば刮目して見よ、とはこの事だ。

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 んで桜井俊貴の事は置いといて、変則左腕の系譜を継ぐ、ウワサの高梨雄平も文句無しの投球。

 捕手枠ピラニア岸田は「大城さんもええですが、ワシの打撃も見ちょってくんさい」と、この日2安打。6回先頭では四球を選び、代走増田大輝。

 ここでいきなり勝負手を打ってくる辰徳采配にもシビれるが、バレバレなのに速攻で盗塁キメる増田にも「オレはこの脚でガキにメシを食わせるんよ」という、職人のメッセージを感じた。「ジブンは打撃も売りにしちょります」と、この日猛打賞に2四球と鬼の出塁を見せた松原聖弥も見事だった(翌日のライトゴロも!!)。そして勝ち越しタイムリーはウィーラー! 加入時には「マルちゃん枠だねー、ベンチが明るくなる!」とか呑気な事を言ってたが、もし居なかったらと思うと寒気が走る。

 結果、この試合は9回にも得点を重ねて記録の上では大勝となったが、この中盤の流れこそ、現在の巨人を象徴する展開であったと思う。

 シーズン前に買った選手名鑑ではまだ楽天に所属している二人と、年俸が1500万に満たないギラついた若手でチャンスを広げて逆転、という観たかった景色がそこにはあった。

 日本シリーズにボロ負けしたとはいえ(しつこいね)、昨年リーグ優勝チームが連覇を狙いつつ若手を使いまくる、という二兎追い辰徳采配がハマったりハマらなかったりするドキドキ感こそ、今年の面白さである。

 コロナ禍でのスケジュールによる日程を見越して、というのもあるだろうが、試合終盤メンバーの並びなんて「ん? これは去年のファームですか?」と二度見するような感じである。

 だからこそ、そのスコアボードを写真に収めておきたいと思った。

©伊賀大介

 ここに写っているピラニア軍団たちが、いずれ来るであろう阿部慎之助のチームの中核を担ってくれる事を期待しながら。

 今シーズン、あと何試合観れるのだろうか。

 マルサカオカ、亀井、菅野たちの千両役者たちもいいが、とにかく今は大部屋俳優の若手たちが飢えて、もがいて「いつかギラギラする日」をつかもうとしている姿を見たい!と、改めて思った、残暑の神宮球場でありました。

 とにかく皆、怪我しないでね。ドゥクシ!!

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